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金利はもっと動いてよい、という日本銀行のかけ声にもかかわらず国債利回りの振れが小さくなっており、債券市場では国債買い入れオペが再び減額されるとの観測が出ている。相場がこう着し、買い入れ減額を繰り返す現状に、保有国債の増加ペースを落としたい日銀の思うつぼとの声も出ている。
長期金利は足元で0.1%前後と、昨年12月の政策点検表明前のゼロ%~0.05%の範囲から水準こそやや切り上げたものの、4月に入り再びこう着状態を強めている。SMBC日興証券の森田長太郎チーフ金利ストラテジストは「早くも来月の買い入れ減額の可能性も取りざたされる状況だ」と指摘する。東海東京証券の佐野一彦チーフ債券ストラテジストも「利回り曲線のフラット(平たん)化が進めば日銀は断続的に減額してくる」とみる。
雨宮正佳副総裁は3月8日の講演で「金利はもっと上下に動いてもよい」との 見解を示した。同月19日の金融政策決定会合で行った政策点検では、そうした考え方に沿って長期金利の変動幅をゼロ%を挟み上下0.25%に明確化した。同月末に公表した4月の買い入れ予定では利付国債の買い入れ額を5500億円 減額した。
S&P/JPX日本国債VIXリアルタイム指数は足元で1.3ポイント前後と昨年12月の点検表明前の水準に近い。これは、今後30日間の長期国債先物の価格変動が年率で1.3%前後と市場で期待されていることを示す。野村証券の中島武信チーフ金利ストラテジストは「足元だけでなく先行きも相場の変動が非常に狭い範囲にとどまると市場はみている」と語る。
パインブリッジ・インベストメンツ債券運用部の松川忠部長は「金利が上にも下にも行かず身動きが取れないという点で、日銀の政策点検表明前と同じ状況に戻りつつあり、かつて見たのと全く同じ風景が再現されている」と語る。
仮に日銀が2カ月連続で国債買い入れを減額しても狭い範囲での値動きが続くとの見方も根強い。バークレイズ証券の海老原慎司ディレクターは、オペ減額が市場機能度の改善に着目した措置で、金融政策運営の方針転換を示唆するものではない以上、「金利上昇は長続きせず、単に押し目買いの機会を提供するに過ぎない」とみる。
東海東京証の佐野氏は「オペを減額すれば一時的な変動は起こるだろうが、上限を明確に示した以上、金利が大きく上がれば止められるのが分かっているので、変動幅はかえって小さくなる可能性もある」と言う。マネタリーベースの前年比伸び率をプラスに維持する目標に反しない範囲で国債買い入れを減らしたいというのが日銀の本音で、債券相場のこう着と買い入れ減額が続く現状は「日銀の思うつぼだ」と指摘する。
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