パナソニックは中国の電機大手TCLとテレビ事業で業務提携し、今年度中にも中小型機種を中心に生産委託を始める方向で最終調整に入った。5月中の合意を目指す。2024年度までに自社生産は最大4割の削減となる見通しだ。海外勢に押されて日本の電機メーカーがテレビ事業を縮小する中、パナソニックも大幅な合理化に踏み切る。
数値は公表していないが、パナソニックのテレビ事業は赤字となっている。価格競争が激しい中小型は利幅が薄く、TCLに生産委託した製品をパナソニックの「ビエラ」ブランドなどで販売することでコスト削減につなげる。大型液晶テレビや有機ELテレビといった高価格帯や中型の一部は自社生産を続ける。
パナソニックは世界で約600万台のテレビを販売している。TCLとの提携で、自社生産は現在より3~4割少ない年350万台程度に縮小するとみている。
マレーシアやチェコなど世界7工場での生産体制も見直し、インドとベトナムでのテレビ生産は21年度中にも終える。国内唯一の拠点である宇都宮工場(宇都宮市)は、有機ELなど一部の機種を除き、別の製品の工場に転換する。15年度に中国と北米でテレビ生産から撤退しており、今回はそれに続くリストラとなる。
TCLは160を超える国・地域で家電などの事業を展開し、20年のテレビの出荷台数シェア(占有率)は世界3位。15年には日本法人を設立し、テレビを販売している。
日本の電機大手ではテレビ事業の縮小・撤退が相次ぐ。日立製作所は12年に国内生産を終了し、18年には自社ブランドでの国内販売も終了した。東芝は18年、中国・海信集団(ハイセンス)にテレビ事業を売却し、ソニーは高価格帯の機種に絞って生産・販売している。
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