国際通貨基金(IMF)は6日公表した最新の世界経済見通し(WEO)で、2021年の世界成長率の予測を6%に上方修正した。一方で各国内および先進国と発展途上国との格差拡大や乖離(かいり)に警鐘を鳴らした。
IMFは1月に今年の世界成長率予測を5.5%に引き上げており、上方修正は3カ月で2回目。最新予測通りなら、40年余りで最大の伸びとなる。昨年はマイナス3.3%で、平時としては大恐慌以来最大の落ち込みを記録した。
世界銀行と共に今週春季会合をバーチャル形式で開催しているIMFは、政策当局が政府支援を「徐々に」縮小することで「財政の崖」を回避すべきだと指摘。中央銀行も金融政策について「明確なフォワードガイダンス」を示し、資本フローが混乱する危険性を最小限に抑える必要があるとした。
IMFは富裕国に対し、新型コロナウイルス感染対策に取り組む比較的貧しい国への支援をあらためて要請。パンデミック(世界的大流行)を収束させるため、医療支出をより広範に優先する必要性を強調した。
バイデン米大統領が先月署名し成立した1兆9000億ドル(約210兆円)規模の追加経済対策については、米国の今年の国内総生産(GDP)をパンデミック前を上回る水準に押し上げ、貿易相手国にもかなりのプラスの波及効果をもたらすとした。
22年の世界成長率見通しは4.4%と、従来予測の4.2%から引き上げた。ただ、多くの先進国が22年まではパンデミック前の水準に戻らず、新興国や途上国がコロナ禍前の水準に戻るのは23年までかかると予想した。
IMFのチーフエコノミスト、ギータ・ゴピナート氏はWEOで今後の展望について、「各国間および各国内での回復ペースの乖離や、危機に伴う持続的な経済的ダメージの恐れに関して非常に困難な問題を突き付ける」とコメントした。
IMFは昨年のコロナ危機への政策対応により、経済の崩壊は阻止されたと指摘。世界経済の中期的損失は約10年前の世界金融危機よりも小規模になると予測しながらも、先進国がより大きな打撃を受けた09年に比べて今回は低所得国と新興国の痛手が大きいとの認識も示した。
また、国境を越えた旅行の正常化が鈍いと見込まれる状況を踏まえると、観光業に依存する国は特に回復見通しが厳しいとした。一方で、先進国では、感染リスクの高い人々のワクチン接種が進展する中、接客業などが盛り返し、昨年からの貯蓄を支えに累積需要が成長のけん引役になると予想した。
国・地域別の成長率予測の詳細は以下の通り:
- 先進国の今年の成長率は5.1%(従来予測4.3%)
- 新興国・途上国は6.7%(同6.3%)
- 米国は6.4%(同5.1%)
- ユーロ圏は4.4%(同4.2%)
- 日本は3.3%(同3.1%)
- 中国は8.4%(同8.1%)
- インドは12.5%(同11.5%)
原題:IMF Boosts Global Growth Forecast, Warns of Diverging Rebound(抜粋)
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