東京電力福島第1原発のタンクにたまり続けている汚染処理水の処分を巡り、菅義偉首相は7日、全国漁業協同組合連合会の岸宏会長と首相官邸で会談した。会談後に岸氏は取材に応じ、菅首相から「(海洋放出に向け)政府の方針を決定したい」と言われたことを明らかにした。岸氏は「放出に反対という姿勢は変わらない」と伝えたという。
岸氏によると、菅首相からは「処理水の処分は避けて通れない。海洋放出がより現実的という有識者による政府小委員会の報告書を踏まえ、政府の方針を決定したい」と、汚染処理水の処分に理解を求められた。これに対し、岸氏は放出反対の姿勢を崩さなかったものの、海洋放出を前提にする場合は国民への丁寧な説明や風評被害の対策をすることなど五つの要望をした。
処分方法を巡っては、有識者による政府の小委員会が2020年2月、海洋放出を強調する報告書をまとめた。これを踏まえ、政府は漁業関係の団体などの意見を聞き、海洋放出の決定をするため、加藤勝信官房長官を議長とする関係閣僚会議を同年10月に開く方向で検討していた。しかし、地元の漁業関係者らの反発により会議を先送りし、開催に向けて関係団体と調整してきた。【岡田英】
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