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新型コロナウイルスのワクチンが世界的な争奪戦となる中、輸入に頼らず、日本のメーカーによる開発や製造が必要だとの声があります。国内でのワクチン開発を取材しました。 注射を受ける女性。これは先月始まった「治験」で、日本の老舗ワクチンメーカー、「KMバイオロジクス」が開発中の新型コロナウイルスのワクチンを打っているものです。 日本ではファイザーのワクチンを輸入し、接種していますが、日本のメーカーは、まだ開発段階です。KMバイオロジクスのワクチン開発現場を訪ねました。 KMバイオロジクス、研究開発責任者、園田憲悟氏「ヒトに投与する治験薬、医薬品をこの中で製造しています」 厳重に管理された施設。扉の奥では、新型コロナウイルスワクチンの開発が行われています。ファイザー製などの新しいタイプとは違い、インフルエンザワクチンなどで長年、接種してきたタイプです。 園田憲悟氏「実績が非常に豊富で、安全性の面でも予期せぬ副作用が起こる可能性が低い」 ワクチンを輸入に頼るといつ、どれくらい確保できるか、日本政府は決められませんが、純国産ワクチンができると…。 園田憲悟氏「国内の流行にあわせて生産量が調整できますし、必要な時に必要な量を供給できる」 KMバイオロジクスは、2023年度中のワクチンの供給を目指しています。 ◇ 一方、国内製薬大手「塩野義製薬」のワクチンを製造する工場では、ワクチンの元となるタンパク質を培養する2万1000リットルの巨大なタンクで、試運転が行われていました。 塩野義製のワクチン製造、UNIGEN、福岡真戦略渉外部マネジャー「塩野義製薬の開発とあわせて(ワクチンを)製造できように、我々(工場)の方も準備を進めているところです」 塩野義製薬では、国の承認が得られ次第、実用化できるよう、あらかじめ製造ラインの準備と国内での治験を同時並行で進めています。 ◇ 国内では、塩野義製薬など含め主に4社がワクチンを開発中です。いずれも治験の段階です。一方、ファイザーなど海外メーカーは、異例の速さで開発と治験を終えました。日本と海外は何が違うのでしょうか? 東京大学医科学研究所、感染・免疫部門ワクチン科学分野、石井健教授「(アメリカなどの政府は)おそらく1兆円規模の予算を昨年早期に投入している。ワクチンは国防、外交の非常に重要なツールになり得る」 例えば、アメリカでは2001年、炭疽菌が入った手紙が送りつけられ5人が死亡する、バイオテロ事件があり、その対応に迫られたことから、この20年ほど、国家戦略としてワクチン開発が進められました。 石井健教授「緊急で作れるワクチンや治療薬の準備をしなくてはいけない。アメリカは非常に早くから、そういう(開発などの)対応が行われていた」 おくれをとった日本のメーカー。世界中でワクチン接種が進む中、ワクチンを打っていないヒトを対象にした大規模な治験をどう行うかが課題です。 今後、毎年、新型コロナウイルスのワクチン接種が必要になる可能性もあり、国産ワクチンの開発は必須です。
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