【NQNニューヨーク=古江敦子】11日のニューヨーク外国為替市場で円相場は反発し、前日比25銭円高・ドル安の1ドル=108円55~65銭で取引を終えた。米ダウ工業株30種平均が大幅安となり、低リスク通貨とされる円が買われた。米連邦準備理事会(FRB)が金融緩和を長く続けるとの見方が改めて強まり、円買いを促した。
欧州株式相場の下落を受け、円買い・ドル売りが先行した。米市場ではダウ平均が一時前日比で660ドル強下落し、投資家が運用リスクを回避する姿勢を強めた。円は一時108円35銭まで上昇した。
ブレイナードFRB理事が11日の講演で、米景気の先行きは明るいが「下振れリスクは残り(完全雇用と物価の)目標からほど遠い」との見解を述べた。経済再開に伴う供給網の混乱で物価が上昇しても「持続的なインフレの高まりにつながる可能性は低い」と指摘した。市場では「今週発表の物価指標が大幅上昇しても金融緩和の方向性は変わらないと受け止められ、ドル売りを促した」(TD証券のマゼン・イッサ氏)との指摘があった。
円の上値はやや重かった。米長期金利が上昇し、日米金利差の拡大を見込む円売り・ドル買いを誘った。リスク回避局面では流動性の高いドルも円と同様に買われやすい。円の安値は108円68銭だった。
円は対ユーロで上昇し、前日比10銭円高・ユーロ安の1ユーロ=131円90銭~132円00銭で取引を終えた。
ユーロは対ドルで反発。前日比0.0015ドル高い1ユーロ=1.2140~50ドルで終えた。一時は1.2181ドルと2月下旬以来のユーロ高水準を付けた。欧州経済研究センター(ZEW)が11日発表した5月のドイツ景気予測指数が前月から大幅に改善した。欧州景気の回復期待が高まりユーロが買われた。FRBによる緩和長期化の観測もユーロの支えとなった。
この日の安値は1.2145ドルだった。
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