ニューヨーク(CNN Business) ビットコインやドージコインなどの暗号資産(仮想通貨)はここ数週間で40%以上下落した。暴落の理由は電気自動車大手テスラのイーロン・マスク最高経営責任者(CEO)だけではないが、同氏が助けになっていないことは確かだ。
米人気コメディー番組「サタデー・ナイト・ライブ」に出演してドージコインは「詐欺」だとジョークを飛ばしたかと思えば、ビットコイン採掘は環境に良くないかもしれないと突然言い出すといったマスク氏の振る舞いに、暗号資産の強気筋からは「ツイートをやめて車作りに専念してほしい」との声が上がっている。
ビットコインのファンは、マスク氏がおそらく全ての暗号資産の短期的な値動きに過大な影響力を行使している状況にうんざりしているのだ。
暗号資産貸し付けプラットフォーム「セルシウス」のCEO兼創業者、アレックス・マシンスキー氏は「やみくもにマスク氏に従っていた人は大金を失った。手痛い損失を負って、もう二度と戻ってこないかもしれない」と語る。
マシンスキー氏はさらに、「暗号資産コミュニティーはこうした資産やリスクの説明の仕方にもっと責任を持つべきだ」と説明。「評論家は機関投資家が関心を寄せ、スクエアやペイパルも参入しているのだから、もう二度とビットコイン相場が下落することはないと言い続けていた」と指摘する。
投資家やアナリストにとって特にいら立たしいのは、マスク氏の発言が二転三転することもあってビットコインやドージコインの価格が変動し、それに伴って全ての暗号通貨が乱高下している点だ。また一部の暗号資産投資家は、マスク氏の発言にこれほど大きく値動きが左右されることに対し、控え目に言ってもいら立っている。
エンジェル投資家で暗号資産関連のコンサルタント、エロイサ・マルケソニ氏は「マスク氏は計算尽くだ。人々は怒っている」と語る。
ビットコインやドージコインなどの暗号通貨に関するマスク氏の見解をテスラに尋ねたものの、同社のコメントは得られていない。ただ、マスク氏はツイッター上で黙っておらず、現時点では強気な姿勢を見せている。
マスク氏は暗号資産関連のツイートを継続
マスク氏は24日未明のツイートで、映画「ジョーズ」の有名なポスターのパロディーを共有した。
パロディーでは襲撃を受ける哀れな遊泳客に代わってクチャクチャのドル札が描かれ、悪名高いサメの代わりに巨大な犬が描かれている。ポスターの一番上には巨大な赤い文字で「DOGE」との文字。「ドルを使うことはもう二度とないだろう」との説明も添えられている。
またマスク氏は22日、「暗号資産を理由にあなたに怒っている人についてどう思うか」と質問したツイッターのフォロワーに返信し、「真の戦いは法定紙幣と暗号資産の戦いだ。総合的に見て、私は後者を支持する」と述べた。
暗号資産が売られている理由はマスク氏だけではない。ビットコインの採掘業者が多く活動する中国で規制が強化されたり、米国で暗号資産への課税が強化されたりする事態への懸念も価格下落を助長している。
ミーム通貨、笑うのはいいが購入は禁物
ドージコインや柴犬コインのようなジョーク通貨が必要な理由は何か。説得力のある主張を展開できる人が見つかればいいが、それはよほどの幸運に恵まれない限り無理だろう。
暗号通貨投資企業マグネティックの幹部、メーガン・カスパー氏は「私はいまだにドージコインに対するマスク氏の見方が分からない。世の中の人も分かっていないのではないかと思う。一体、なぜ彼は価値があると考えているのか」と疑問を口にする。
同氏はさらに「機関投資家は非常に思慮深く、マスク氏が推奨しているというだけの理由でドージコインを買うことはない。しかし、生計のために投資をしているわけではない個人投資家は事情が違うかもしれない」と付け加えた。
マルケソニ氏は長期投資家に対し、マスク氏の言うことには耳を貸さず、ビットコインやイーサリアムのほか、カルダノやリップル(XRP)のような知名度の高い通貨に集中すべきだと促している。
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