スイスの銀行 クレディ・スイス・グループは、アルケゴス・キャピタル・マネジメントに絡み44億スイス・フラン(約5200億円)の評価損計上を発表するとともに、幹部2人の事実上の更迭を明らかにした。相次ぐ不祥事で同行のリスク管理が問われていた。
6日の発表資料によると、1-3月(第1四半期)は約9億フランの税引き前赤字となる。同行は減配も提案した。投資銀行部門トップのブライアン・チン氏と最高リスク責任者(CRO)のララ・ワーナー氏は退社する。
トマス・ゴットシュタイン最高経営責任者(CEO)は、アルケゴスのポジション解消および先月のグリーンシル・キャピタル破綻から「深刻な教訓」を引き出す決意を示した。
同CEOは発表文で「これらの案件が当行のステークホルダー全てに重大な懸念を引き起こしていることを認識している。取締役会と共に、問題の是正を図る決意だ」と表明した。クレディ・スイス株は今年に入り、世界の大手銀行で最悪のパフォーマンスとなっている。
グリーンシルに関しては先に、資産運用部門責任者のエリック・バーベル氏を更迭している。5日のスタッフ向け文書によると、株式トレーディング責任者のポール・ガリエット氏を含む少なくとも5人も退社する。
チン氏の後任には元バンク・オブ・アメリカ(BofA)幹部で昨年10月にクレディ・スイスに加わったクリスチャン・マイスナー氏が来月就任する。リスク責任者はワーナー氏の前任だったヨアヒム・オクスリン氏が暫定的に復帰し引き継ぐ。
2020年の配当は1株当たり0.1フランと従来予定の約0.29フランから引き下げ、自社株買い戻しは普通株式等ティア1(CET1)比率が目標水準を回復するまで停止する。1-3月はCET1比率12%を見込んでいる。上期の目標は12.5%以上だった。
ウルス・ローナー会長は20年の報酬150万フランを辞退するほか、取締役の20年賞与も支払わない。
クレディ・スイスは元ヘッジファンド運用者のビル・フアン氏のファミリーオフィスであるアルケゴスのプライムブローカーの1社で、アルケゴスのポジション解消で大きな損失を被った。事情に詳しい関係者によると、アルケゴス関連で23億ドル相当の株式を今週売却した。
原題: Credit Suisse Takes $4.7 Billion Archegos Hit, Cuts Dividend (1)(抜粋)
(第5-8段落を追加して更新します)
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