東芝が、英投資ファンド「CVCキャピタル・パートナーズ」などから、買収に向けた提案を受けていることが7日わかった。CVC側は、東芝の同意が得られれば株式公開買い付け(TOB)に乗り出す考えで、全ての株式を取得して株式を非公開化する方向だ。買収額は2兆円を超えるとみられる。
東芝は7日午前、「CVCから買収に関する打診はこれまで受けていない。昨日、初期提案を受領したばかりで、今後、詳細情報を求め、慎重に検討していく」と発表した。同日中にも取締役会を開き、対応を協議する。
2020年に施行された改正外国為替及び外国貿易法で、東芝は安全保障の観点から特に重要な「コア業種」に位置づけられている。買収には日本政府への届けが必要となり、政府が認めるかも大きな焦点になる。
関係者によると、CVC側は近く正式な買収提案を行う見通しで、他の投資ファンドにも参加を呼びかける。6日時点の東芝の株価は3830円で、これより2割以上、高い金額で買い取ることも検討している。
米原子力発電事業の巨額損失などで経営危機に陥った東芝は、17年に6000億円の増資を実施した。財務体質は大幅に改善したものの、大株主となった外国人や「物言う株主」と言われる投資ファンドとの間で、取締役人事などを巡って度々、対立を繰り返してきた。
今年3月の臨時株主総会では、昨年の定時総会が適切に運営されたか改めて調査するよう求めた投資ファンドの提案が賛成多数で可決。提案に反対した車谷
東芝は今年1月に東証2部から1部に復帰したばかり。CVCによる買収提案は、株式の上場を廃止して経営の自由度を高め、迅速な経営判断ができるようにする狙いとされるが、物言う株主を排除する思惑もあるとみられる。
CVCは1981年に英国で創業し、外食大手「すかいらーく」に投資したほか、今年は資生堂の日用品事業の買収を決めた。車谷氏は三井住友銀行副頭取を退任後、17~18年にCVC日本法人の会長を務めた。
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