2年前に生産中止となったアイス「エルコーン」が今春、全国の店頭に再び並び始めた。終了を惜しむファンの熱烈なラブコールを受け、製造元のフタバ食品(宇都宮市)が復活を決断した。コロナ禍で「おうち時間」が増加したことも追い風となった。
エルコーンは1980年に発売された。逆円錐(えんすい)形の薄緑色のコーンに、メロン味とバニラ味が交じったシャーベットがドーム状に盛られている。年間数百万個が安定して売れる人気商品だったが、プラスチック容器の高騰による利幅の減少などにより、2019年3月に出荷が終了した。
ところが、ネット上で惜しむ声が広がった。同社によると、生産終了に関わる情報はツイッターで1万5千回以上も拡散された。復活を求める声も数多く寄せられた。
「思い出の味がなくなるのは寂しい」「なんでやめるんだ」。問屋からは「もったいないね」。そう声をかけられた従業員もいた。
斉藤龍樹企画部長は「私たちから見えないところに、こんなにファンがいたなんて」と驚いた。
ファンの声を受け、昨年秋、本体価格を70円から100円に値上げして復活させると決めた。果汁を増やし、緑色のコーン着色を天然素材に切り替えた。
3月22日、再び販売が始まった。同社がエルコーンの画像に「復刻」と記したツイートは、少なくとも3千回近く拡散された。
「小中学生のころ、よーく食べましたよ。嬉(うれ)しい復活!」「みんな心待ちにしてたんですね」――などのコメントが寄せられた。
フタバ食品の看板商品といえば、年間1500万個を売り上げる氷菓「サクレ」だ。「野球に例えるなら、サクレは4番打者。エルコーンはクリーンアップとまではいかないけれど、いつも期待に応える代打かな」と斉藤部長。息長い強打者のイメージは水島新司氏の漫画「あぶさん」に重なるという。
発売から41年。宇都宮発の全国区・エルコーンが2度目の開幕の春を迎えた。
■主力商品「サクレ」、生産追いつかなかった夏も
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