「20世紀における最高の経済学書」とも言われるケインズの『雇用、利子、お金の一般理論』の入門書『超訳 ケインズ「一般理論」』がこのたび刊行された。 とくに経済危機の到来が叫ばれる昨今、真に読むべき経済書として取り上げられる名著ではあるが、難読でも知られていた。それが的確かつ絶妙な訳出により、気軽に読み始められるものとなっている。 経済学を学ぶ者以外であっても一度は読むべき歴史的名著と言われるゆえんと、そしていまこそ読むべき理由を探っていく。
■「不況の研究」が生み出した普遍的な経済理論 20世紀における最高の経済学書といってまず真っ先に挙げられるタイトルは、『雇用、利子、お金の一般理論』(ジョン・メイナード・ケインズ著)ではないだろうか。 1929年のNY市場の株価大暴落から始まり、世界中に不況が広がったいわゆる「大恐慌時代」の最中に刊行(1936年)されたこの本は、当時の経済学者たちがなすすべなく気色を失うなか、暗闇に差した一筋の光だった。
人間社会の崩壊寸前。そう言っても過言ではないほど1930年代の大恐慌による経済的破綻は大げさでなく悲惨であり、最終的にはその後の第2次世界大戦を招くことにもなるのだが、一編の論考がその崖っぷちからかろうじて人類を救うことになる。 実際にケインズがいなかったら、そして『一般理論』が世に出なかったとしたら、今ごろ私たちはどうなっていたか。考えるだけで背筋が凍りそうになる、そんな経済学者、社会学者も多いのではないか。究極の「経世済民の書」という意味でも間違いなく第一級の経済書といえるだろう。
現代で最高の影響力を持つノーベル賞経済学者、ポール・クルーグマンは『一般理論』について「ぼくが最も高い評価を与えるのは、世界の見方をまるっきり変えてしまい、いったんその理論を知ったらすべてについて違った見方をするようになってしまう理論だ」(*1)と語っている。 そしてケインズについては「社会科学の歴史上で、ケインズの業績に匹敵するものは存在しない」(*2)とまで語っている。 また、アメリカ最高の経済学者としていまなお語られるポール・サムエルソンはケインズと一般理論に関して、「『一般理論』は、南海島民の孤立した種族を最初に襲ってこれをほとんど全滅させた疫病のごとき思いがけない猛威をもって、年齢35歳以下のたいていの経済学者をとらえた。50歳以上の経済学者は、結局のところ、その病気にまったく免疫であった。時が経つにつれ、その中間にある経済学者の大部分も、しばしばそうとは知らずして、あるいはそうとは認めようとせずに、その熱に感染しはじめた」 (*3)と述べている。
からの記事と詳細
https://ift.tt/3dxpQr0
ビジネス
Bagikan Berita Ini
0 Response to "ケインズ「一般理論」がいま読まれるべき理由(東洋経済オンライン) - Yahoo!ニュース - Yahoo!ニュース"
コメントを投稿