新型コロナウイルスの全国での新規感染者数が連日2000人を超える中、感染防止と企業活動の両立を求められる経済界に戸惑いが広がっている。在宅勤務の再拡大を図る企業もある一方で、政府が緊急事態宣言を出さない中、思い切った対応をとりづらい状況でもあるからだ。一方、各企業は会食の自粛などについては呼びかけを強めており、逆風が吹く外食産業は対応に追われている。
「状況をみながらもう一段、在宅(勤務)率を高めようとしている」
日本製紙連合会の野沢徹会長(日本製紙社長)は20日の会見で、日本製紙としての感染防止の取り組みを説明した。日本製紙は今春の緊急事態宣言時は在宅勤務比率が8割に高まったが、現状は5割程度だという。
また積水ハウスも感染再拡大が顕著な首都圏、大阪の地域事務所で、これまで7割程度だった出社率を3割まで引き下げるよう指示した。
ただしこうした在宅勤務や出社に関する目標の変更は少数派だ。多くの企業は在宅勤務と出社のバランスを再検討するなどしたが、目標の変更には踏み切っていない。政府が観光支援事業を継続し、緊急事態宣言発令にも至っていない中、思い切った方針転換にはためらいがあるようだ。
一方、各社は会食に対する注意喚起は強化している。三井物産では「会食については必要性を慎重に考えて対応すべし」との指示を20日に改めて出した。東京商工リサーチの調査によると、年末年始の忘年会や新年会を開催しないと答えた企業は全体の87・8%に上っている。
こうした中、外食チェーンが加盟する日本フードサービス協会は20日に緊急会合を開催。感染防止策について協議した。
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