三井不動産は27日、 東京ドームに株式公開買い付け(TOB)を実施し、完全子会社化すると正式発表した。買収総額は、1205億円。東京ドームは香港のヘッジファンドが筆頭株主になっており、三井不が友好的な買収者(ホワイトナイト)として、同ファンドに対抗する。
発表によると、TOB価格は1株1300円で、26日の終値897円に約45%のプレミアム(上乗せ価格)を加味した。買い付け期間は11月30日から2021年1月18日まで。
三井不は東京ドーム全株式を取得後、20%を 読売新聞グループ本社に譲渡。同グループはプロ野球球団の 読売巨人軍を保有しており、本拠地である東京ドームと資本業務提携を結び、球団経営と一体化させる。
東京ドームを巡っては、筆頭株主のヘッジファンドが長岡勤社長の解任を要求するなど対立が先鋭化していた。社長解任を要求しているのは、香港のヘッジファンド、 オアシス・マネジメント。10月に長岡社長ら取締役3人の解任を議題とする臨時株主総会の開催を求める書簡を送付、対立が表面化した。ブルームバーグのデータによると、オアシスは同社株式の9.61%を保有する筆頭株主。
東京ドームがオアシスへの対抗策を模索するなかで、三井不がホワイトナイトとして名乗りを上げた格好だ。27日の東京ドームの株価は取引開始から買い気配のまま値がついていない。前日比17%高の1047円とストップ高まで気配値を切り上げた。三井不も一時、3.2%高の2332.5円まで上昇した。
東京ドーム側は10月19日の発表資料で「オアシスとの建設的な対話を拒んできたという認識はない」とコメントしていた。オアシス創業者で最高投資責任者(CIO)のセス・フィッシャー氏は同22日の インタビューで「われわれは一緒に会社を良くしたいと思いさまざまな提案をしているが、現経営陣が示した改善策は小規模な上に時間もかかり過ぎる」と批判していた。
東京ドームの臨時株主総会は12月17日に都内で開催される予定。
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