JR九州高速船(福岡市)の新型高速旅客船「クイーンビートル」の完成記念式典が24日、福岡市の博多港で開かれた。就航を予定した韓国・釜山間は新型コロナウイルスの影響で開始時期が見通せず、当面、博多湾近郊エリアの周遊運航となる予定だ。
新造船の全長は83.5メートルと、現行の日韓高速船「ビートル」の3倍。専用タラップで深紅の船体に乗り込むと、明るく開放的な空間が広がる。
公開されたJR九州の新型高速旅客船「クイーンビートル」の客室(24日、福岡市の博多港)
客室フロアは2階建てで、定員は502人。通常の座席のほか、ブース席やテーブル席がある。大型荷物や自転車を置けるスペース、展望デッキ、キッズルームも設けた。
ビートルではクジラなどとの衝突に備えシートベルトを着用していたが、クイーンビートルは不要。運航中も自由に歩き回って食事や買い物が楽しめるよう、ラウンジや免税店を設けた。
船内にはキッズスペースも
現行のビートルに続いてデザインを手がけた水戸岡鋭治さんは、「ビートルとは全く違う、新しい船旅が始まる、最高の舞台になる」と期待した。
新造船は7月に釜山との間で就航予定だったが、新型コロナの影響で日韓航路は3月から運休が続いている。税負担軽減などのため外国船籍(クイーンビートルはパナマ船籍)を取得した新造船は原則、国内での営業運航はできない。このため、JR九州高速船は特例措置を九州運輸局に申請する。同局も前向きだという。
その上で、来年1月中旬にも旅行会社を通じて博多湾近郊を周遊する旅行商品を販売する。1~3時間程度で、それぞれ糸島や沖ノ島を巡る4コースを設定する。週末に運航する想定だ。
JR九州高速船の水野正幸社長は「ビジネス的には成り立つ」としたが、釜山航路の通常運賃は大人片道で1万6千円から。失った売り上げを補えるかは不透明だ。燃料消費も現行ビートルに比べ大幅にかさむという。
博多湾の周遊船を巡っては、西日本鉄道が採算が取れないとして年内での撤退を決めている。JR九州高速船の幹部は「タラップなど港の設備が対応が可能なら、遠距離航路も検討したい」としている。
クイーンビートルは約57億円かけ建造した。同社の青柳俊彦社長は「日韓航路の再開条件が整えば、さっそく運航を開始したい」と話した。
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