【北京=三塚聖平】中国が、国家安全に関わる戦略物資や技術の輸出を規制する「輸出管理法」を12月1日に施行する。中国の安全保障に害を及ぼすとみなした企業をリスト化して禁輸措置をとるなど、対中圧力を強める米国への対抗手段を整える狙いがある。レアアース(希土類)が対象品目入りするとの見方が出ているものの、いまだに管理対象の品目が明らかにされていないなど運用に関して不透明な部分が多く、日本など各国企業に与える影響が懸念される。
中国の輸出管理法は、安全保障に関わると判断した物資や技術などを当局がリスト化して輸出を制限することが柱だ。管理対象の品目を輸出する際には、事前に輸出先や使い道を中国当局に申請し、許可を得ることが必要になる。また、特定の外国企業を「安全保障を害する恐れがある」といった面でリスト化し、管理対象品目の輸出を禁止することも可能とする。
中国商務省は10月下旬、対象品目のリストについて「適切な時期に発表する」と表明したがいまだに公表されていない。対象品目が判然としないまま施行に踏み切る可能性が高まっているが、一部ではレアアースが対象になるとの見方がある。中国はレアアースの生産で世界シェアの6割強を占め、2010年の尖閣諸島(沖縄県石垣市)沖で起きた中国漁船衝突事件で事実上の対日輸出規制を実施した経緯もあるからだ。
同法は、全国人民代表大会(全人代)常務委員会が10月中旬に開いた会議で可決したが、スピード施行の背景にはトランプ米政権の存在がある。華為技術(ファーウェイ)への半導体輸出を全面的に禁じる新規制を9月に施行するなど中国企業への圧力を強めており、有力な対抗措置を打ち出すための法整備が急務だったからだ。
実際、同法は輸出管理措置を乱用して中国の安全や利益を損ねる国や地域に対等な措置を講じることを可能とした。ただ、米次期大統領に就任する見通しとなったバイデン前副大統領の対中政策を見極めるため、当面は制裁発動に踏み切らないという見方もある。
日中外交筋は「現時点では米国を念頭に置いたものだが、仮に日中関係が再び悪化すれば日系企業が対象になり得る」と警戒する。尖閣諸島に関する緊張が増した際に、自衛隊に製品を納入している日本企業がリスト掲載されるといった事態があり得そうだ。
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