5日、東部デラウェア州で声明を発表するバイデン氏(写真左)と、ホワイトハウスで記者会見するトランプ氏=いずれもAP
【ワシントン=永沢毅】米大統領選は5日、残る激戦5州の開票が佳境を迎えた。民主党候補のジョー・バイデン前副大統領(77)は激戦州で勢いを加速し、当選に必要な「選挙人」の過半数の獲得に迫る。窮地に立つドナルド・トランプ大統領(74)は根拠を示さず選挙に「不正」があると主張し、訴訟で抵抗する。
全米538人の選挙人の過半数270人以上を争う大統領選で、バイデン氏は253人を確保した。トランプ氏は214人にとどまる。
米CNNによると米東部時間6日午前4時半(日本時間同日午後6時半)ごろ、トランプ氏が先行していた南部ジョージア州でバイデン氏が票数で逆転した。東部ペンシルベニア州もバイデン氏が追い、西部ネバダ州でもリードを拡大した。
未開票なのは新型コロナ対策で急増した郵便投票が中心だ。多くの州で郵便投票はバイデン氏に有利となる。「全ての票を数えなければいけない」とバイデン氏は開票を続けるよう訴える。
「開票が終われば、私たちが勝つのは疑いようがない」。バイデン氏は5日、地元デラウェア州の演説で自信を示した。新型コロナウイルスと経済危機の説明を専門家から受けたと明かし「パンデミック(世界的大流行)の深刻さへの思いを新たにした」と語った。
新型コロナと経済再生は「バイデン政権」が取り組む二大テーマだ。政権移行の準備に抜かりがないことをアピールする狙いがある。複数の米メディアによると、水面下で閣僚候補の人選も進めているもようだ。
トランプ氏の勝利のハードルは高い。270人に届くにはペンシルベニアの勝利が不可欠だ。加えてジョージア(選挙人16人)、西部アリゾナ(11人)、南部ノースカロライナ(15人)、ネバダ(6人)のうち3州以上をおさえる必要がある。
焦るトランプ氏は郵便投票の集計を食い止めようと打って出た。同氏の陣営は5日、ネバダで開票の差し止めと集計の監視を求める訴訟を新たに起こすと明らかにした。大統領選の投開票を巡る法廷闘争はペンシルベニア、ジョージア、中西部ミシガンを含む計4州に広がった。ただジョージアやミシガンでの訴訟は5日に相次ぎ州裁判所が却下した。
「巨大な法廷闘争の財源が必要だ」。バイデン氏は支持者へのメールではこう呼びかけ、訴訟に備えた費用の確保に向けた献金を募る。米メディアによると、ペンシルベニアとネバダに加え、勝利を確実にした中西部ウィスコンシン州とミシガンでも多数の弁護士を確保したとされる。
トランプ氏が乱発する訴訟は選挙制度を揺るがす。「郵便投票は腐敗している。彼らは不正を働こうとしている」「彼らはどのくらいの票が必要かを計算し、それを見つけることができるようだ」。トランプ氏は5日のホワイトハウスでの記者会見でまくし立てた。
消印や本人確認ができなかった票が集計されているなどと訴えたが、根拠は定かではない。民主主義の擁護者であるはずの米大統領が選挙の信頼性を傷つけるかのような訴えを繰り返す異様な光景だ。NBC、ABC、CBSの米3大テレビは記者会見の生中継をほどなく打ち切った。
トランプ氏は敗北時に政権移行に応じるかについても明言を避ける。異例の展開をたどる大統領選が米国の分断をさらに深めるのは避けられない。
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