29日に開かれた関西スーパーの臨時株主総会。エイチ・ツー・オー(H2O)リテイリングとの統合案の可決を知らせるアナウンスを、オーケーの二宮涼太郎社長は硬い表情で聞いた。
「ぎりぎりでしたので、当然悔しい思いはある」。報道陣の取材に悔しさをにじませた。5年ごしの買収提案は、ついにかなわなかった。だが、オーケーの関係者は「試合には負けたが、勝負には勝つ」と明かす。その真意は――
成長株のオーケー、好立地の関西スーパー
オーケーは、他のスーパーのような特売日を設けず、「EDLP(エブリデー・ロープライス=毎日安売り)」戦略で成長を遂げてきたディスカウントスーパーだ。東京を中心に千葉や神奈川、埼玉にまたがる国道16号の内側エリアに計132店舗(10月末現在)を展開している。
「買い物客に損をさせない」を信条に、競合店より1割以上安く販売。魚や肉といった生鮮食品も充実させ、品質の悪い商品には自らダメ出しする「オネスト(正直)カード」など独自の取り組みで客の支持を集めてきた。2021年3月期の売上高は過去最高の5076億円(前年同期比16・8%増)にのぼった。
一方の関西スーパーの創業は1959年、伊丹十三監督の映画「スーパーの女」の製作にも協力した老舗で、関西での知名度は高い。H2Oの荒木直也社長は「スーパーの草分け的な存在」と話す。21年3月期の売上高は前期比3・8%増の1309億円。店から半径1~2km圏内の客が多く、高齢者もめだつ。
計64店舗のほとんどを大阪・兵庫県の都市部に出店。人気沿線に立地する店舗も多い。
5年前から不協和音
オーケーの二宮氏はインタビューで、関西スーパーの立地に魅力があるとしつつも、「かつて世話になった関西スーパーと競合関係になるより、一緒にやる方法を探りたいと考えた」と強調。約30年前、創業者同士の親交が縁で関西スーパーに社員を派遣し、生鮮品の鮮度管理の仕組みなど店舗運営のノウハウを学んだ歴史もアピールした。
ところが実際は16年以降、両社の間で溝が生まれていた。
当時のオーケーもまた、将来…
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