アント・グループの新規株式公開(IPO)に関与する金融機関のバンカーにとって、乗用車やボート、さらには別荘の購入に必要な大金を賄えるボーナス増額につながるはずの取引だった。
シティグループやJPモルガン・チェース などのディールメーカーは、アントの香港IPOで最大 4億ドル(約420億円)近い手数料が手に入るはずだったが、上場予定日直前に香港と上海でのIPOが突然停止されたことで混乱に陥った。事情に詳しい複数の幹部は、ショックを受けており、今後どうなるかを探ろうとしていると語った。
IPOに関する助言を企業に提供するクラスVグループのマネージングパートナー、リセ・バイヤー氏は「延期は需要不足や市場の問題のためではなく、社内および規制上の懸念のためだった」と指摘。「中国IPO市場への影響は軽微にとどまる」との見方を示した。
アントの香港IPOで最大の恩恵を受ける公算が大きいのは、主幹事を務めるシティとJPモルガン、モルガン・スタンレー、中国国際金融(CICC)の4行。
アントは上海IPOの手数料を公表していない。香港IPOについては調達資金の最大1%を銀行に支払う意向で、オーバーアロットメントのオプションが行使された場合、手数料は最大1億9800万ドルに上る可能性があると 届け出で明らかにしている。
1%の手数料比率は香港IPOの調達額が10億ドルを超えた企業の平均を下回る水準だが、アントのIPO規模からして銀行が大儲けするのは確実だ。さらに、引受業者は取り扱う注文に対して1%の仲介手数料も受け取れる。
今のところ引受業者に支払われる正確な金額は不明だが、IPO計画が復活するまで銀行が費用の補償以上のものを得られる可能性は低い。
バイヤー氏は「一般的に言って、取引が完了しない限り企業が銀行に支払う義務はない」と指摘。バンカーは当面、ディールを救済し、投資家の利益を維持することに集中する必要がある。
アライアンスバーンスタインのアナリスト、ケビン・クウェク氏は顧客向けリポートで、「センチメントが損なわれたのは確かだ」として、今回の出来事は「規制リスクを織り込んでいなかった投資家にとって警告となった」と分析した。
原題:
Bankers Reel as Ant IPO Collapse Threatens $400 Million Payday(抜粋)
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