[ニューヨーク 8日 ロイター] - 米パイプライン最大手のコロニアル・パイプラインが、サイバー攻撃を受けて操業を全面的に停止した。東海岸の燃料の半分近くはこの石油パイプラインが供給。車で移動する人が増える夏が近づく中、停止が長引けばガソリン価格が急騰する可能性がある。
コロニアル・パイプラインはメキシコ湾岸の製油所と米東部と南部を結ぶ全長8850キロのパイプライン。ガソリンを含む燃料を1日250万バレル輸送している。ジョージア州アトランタのハーツフィールド・ジャクソン国際空港など、米国内の主要空港にも燃料を供給している。
コロニアル・パイプラインは「状況を把握し、解決に向けて手立てを講じている。と同時に、通常の操業に安全かつ効率的に戻ることに注力している」と発表した。ランサムウエアによる攻撃に7日に気づき、操業を停止したという。停止がどのくらい長引きそうかなど、詳細は明らかにしていない。
米政府による捜査は初期段階にあるものの、元政府関係者1人と業界関係者2人によると、ハッカーはプロのサイバー犯罪集団とみられるという。
この元政府関係者によると、捜査当局は「ダークサイド」と呼ばれる集団を調査。ランサムウエアを仕込んで金銭を要求、拠点が分からないよう旧ソ連諸国に身を隠すことで知られているという。ランサムウエアは、データを暗号化してシステムを停止させ、金銭を要求するマルウエアの一種。
米連邦捜査局(FBI)を含め政府機関は、状況を認識しているとする一方、攻撃者の詳細は把握していないとした。
ホワイトハウスの報道担当者は、できるだけ早い復旧に向け同社を支援するとともに、供給が寸断されないよう取り組んでいると述べた。バイデン大統領は8日午前に説明を受けたという。
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