原子炉がある建屋などにつながる、テロ対策が必要な区域の入り口のゲートではこれまで、身分確認を行う作業員らで混雑し長い行列ができることが多く、トラブルや不正の原因になりえると考えられてきました。
そこで、警備員や警備員をサポートする体制の強化が図られました。具体的には、部長級の社員が現場で執務することで、警備の状況を把握しやすいようにしたり、警備にあたる職員に職位を与え責任を明確化したりしました。
また、長年、警備業務に携わってきた社員を新たに配置し、委託の警備員の指導やトラブルの際の対処などを担わせることで、円滑な運営が図られるようにしたということです。
一方、一連の問題が起きた組織的な要因を見いだすため、東京電力は経営層が柏崎刈羽原子力発電所で働く社員およそ1100人全員と車座になって話し合う「経営層対話」を行いました。
対話には小早川社長や新潟本社の橘田代表ら4人と1回あたり10人程度の社員がおよそ1時間、組織上の問題や気付いたことをざっくばらんに話し合いました。
先月行われた対話では、「コミュニケーション」の在り方がテーマになりました。社員からは一連の問題が起きる前の上司との関係について「相談しても少し冷たい態度をされた」とか、協力会社の作業員との関係について「やりとりの中で言葉を省いていたことがあった」などと、職場でのコミュニケーションが不十分だった現状が浮かび上がりました。
その一方で「問題が起きて自分もチームもすごく落ち込んで、モチベーションが上がらない状態だったが、対話活動が始まってからいろんな会話ができるようになった」と、経営層との対話がきっかけで、職場の雰囲気が変わり始めているといった意見も出されました。
対話は半年間で延べ、およそ120時間行われ、業務量の多さや繁忙感に対する会社のサポートの必要性や核セキュリティ部門など他部署との情報共有の難しさなどの課題もあげられたということです。
参加した第一運転管理部の40代の男性社員は「こんなことやっても変わらないという意見もあると思うが、変わろうとしなければ変われないし、われわれは変わっていかなければいけないというスタートにしたい」と話していました。
さらに、一連の問題によって地元の信頼を失った発電所を生まれ変わらせようと一般の社員が中心となった動きも出てきています。
新入社員からベテランまで幅広い層の社員10人で構成されたプロジェクトメンバーを発足。「いい発電所を目指すためにはなにが必要か」を考えるため、まず、アンケート調査を始めました。
アンケートでは職場環境をよりよくするための取り組みを募集していて、回答の内容を分析したうえで、できることから実行に移す予定だということです。
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