新型コロナウイルス禍の人流抑制で打撃を受けていた鉄道各社が、誘客促進に動き出している。緊急事態宣言が解除され、新型観光特急の導入や、乗り放題切符などのキャンペーンが各社から相次いで発表された。鉄道業界は昨年から厳しい業績が続き、経費削減や資産売却で糊口をしのいできた。足元ではコロナの新たな変異株「オミクロン株」の脅威が出ているものの、ようやく「稼ぐ」方向でも力を入れられるようになったことで、長いトンネルに光が差してきている。
半個室のサロンシート
車体に「冠位十二階」の最上位の紫色を塗装。内装は古都・奈良の正倉院の宝物をモチーフにした天平文様をデザインする。近畿日本鉄道の新型観光特急「あをによし」は、「奈良に行くなら近鉄」のブランドイメージを前面に出して令和4年4月29日にデビューする。
大阪と観光地の奈良、京都を直通で結ぶ。2人用は窓側に向いた展望シートがあり、3~4人用は半個室のサロンシートを用意。軽食や飲み物の販売カウンターも設置し、ゆったりとした移動空間を演出する。来年のゴールデンウイークに合わせた投入で、担当者は「当面は国内観光客がターゲット」とし、コロナ収束後には海外観光客の取り込みも視野に入れる。
新型観光特急の導入が発表されたのは宣言解除直後の10月8日。親会社の近鉄グループホールディングス(HD)幹部は「このタイミングを待っていた」と明かす。新規感染者が減っていない段階では人流を増やすと批判されかねず、遅すぎてはプロモーションに時間をかけられない。見計らった発表時期だった。
近鉄はほかにも、大阪から名古屋まで展開する全線が3日連続で乗り放題になる切符を10月4日から発売。11月からは、旅行やホテル、レジャーなどグループ各部門の特典が受けられるキャンペーンを展開しており、総力を挙げて利用を呼びかける。
矢継ぎ早に打ち出す誘客策について、近鉄HDの安本幸泰副社長は「コスト削減ばかりではなく、旅行やお出かけといった『コロナが落ち着いたらやりたい』という思いを的確に収入へつなげたい」と狙いを説明する。
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