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日本銀行が発表した地方銀行や信用金庫が保有する日銀当座預金に0.1%の追加的な付利を行う制度は、将来的な地銀再編を目指す菅義偉首相と足並みをそろえたものだとの見方が出ている。政府側からも評価する声が出てきた。
加藤勝信官房長官は11日午前の記者会見で、地域銀行に「自らの経営改革を進め、経営基盤を強化して、地域に貢献していただくことを期待している」とした上で、日銀の措置を「地方銀行の経営基盤強化を促すものと評価している」と述べた。
制度は経営統合など経営基盤の強化を図ることが要件で、2022年度まで3年間の時限措置として実施する。地域経済を支えながら経営基盤強化に取り組んだ地域金融機関を後押しし、金融システムの安定を確保するのが狙いだ。
地域金融機関は当初から菅首相の重要政策の一つだった。9月の総裁選では、地方の銀行について「将来的には数が多すぎる」と発言。就任後は麻生太郎財務相兼金融担当相に、地銀の経営基盤強化のため、再編促進を含めた環境整備を進めるよう指示した。
元日銀審議委員の木内登英野村総合研究所エグゼクティブ・エコノミストはリポートで、今回の日銀の措置が「経営統合等を後押しする意図を示しており、かなり踏み込んだものだ」と分析。「地域金融機関の再編を口にしている菅首相への配慮も含まれているのではないか」との見方も示した。
早期取り組み促す
新型コロナウイルスの影響で内外経済の先行き不透明感が強い中、金融システムの安定に対する日銀の警戒感も導入の背景にある。
日銀が10月22日に公表した金融システムリポートでは、新型コロナの影響によって実体経済が停滞する場合、22年度には国内貸し出しが減少に転じるとの分析結果を示した。黒田東彦総裁は4日の講演で「経済が想定以上に悪化すれば、金融システムに影響する可能性があることにも留意が必要だ」と発言した。
政府・日銀は、政府による実質無利子・無担保融資を日銀が利用金融機関に対して0.1%付利する有利な条件でバックファイナンスを行うなど連携を強化してきた。ただ実質無利子・無担保融資の利子補給も3年後には終了する。
高口博英金融機構局長は10日、追加付利を3年間の時限措置としたのは「地域金融機関の早期の取り組みを促すため」と説明。政府との連携については「地域金融機関が金融仲介機能を円滑に発揮していくためには、経営基盤を強化することが重要との認識は日本銀行も政府も同様と認識している」と語った。
SMBC日興証券の丸山義正チーフマーケットエコノミストはリポートで「本来は政府そして財政政策の領域であるように思われる」とした上で、「実施すべき政策主体の観点に関して疑問は残る」と指摘した。ただ地域金融機関に選択肢を示したという点で「積極的な姿勢は前向きに評価できる」とみている。
(詳細を追加しました)
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