JR東日本が今夏、検討すると明らかにした「変動運賃制」に注目が集まっている。
時間帯によって運賃を変える新たなシステムで、新型コロナウイルスの感染問題などを機に検討することにしたという。ただ、利用者からは「値上げにつながらないのか」など不安も上がっている。
JR東日本に続き、西日本も表明
JR東日本の深沢祐二社長は2020年7月の定例記者会見で、「ダイヤや運賃の見直しの検討をしている」と述べ、変動運賃制がその1つだと指摘した。現在の日本の鉄道の運賃は基本的に乗車した距離に応じて決まる仕組みだ。これに対し、変動運賃制は、混雑のピーク時に運賃を高くしたり、ピーク以外の運賃は安くしたりして、時間によって運賃を変えるものだ。
ピークを分散化できれば、密の状況を緩和することができとして、JRは感染予防の意味合いを強調する。厳密に変動運賃制とは言えないが、東京メトロは東京オリンピックに備え、混雑緩和策の一環として「オフピークプロジェクト」を実施している。ラッシュ時を避けて乗車した人にはポイントを付与する取り組みで、実質的な割引といえる。変動運賃制には同じような効果が期待できる。
JR東日本に続いてJR西日本も同様に、変動運賃制を検討すると表明、両社は国土交通省と導入に向けて協議を進めているとされる。JR各社だけでなく、私鉄大手にも同様の動きが広がる可能性がある。
ピークを分散することは感染予防だけでなく、通勤環境の改善にもつながり、前向きにとらえていいことかもしれない。しかし導入には問題も多い。
背景には「鉄道利用者の激減」が
テレワークの広がりや外出自粛の影響で鉄道利用者は激減している。JR東日本が9月に発表した2021年3月期連結業績予想によれば、最終(当期)損益は4180億円の赤字(前期は1984億円の黒字)の見通しで、通期の赤字転落は1987年の民営化以降初となる。厳しい経営環境の中、抜本的な対策は避けられず、同社は既に来春から終電時間を繰り上げると発表、コスト削減を急ぐ計画だ。
変動運賃制はこうした中で突如、JRが話題に挙げたもので、「業績悪化を受けた対応策の一環であることは間違いない」(関係者)とみられている。同社は定期券で導入する可能性を示唆するが、混雑のピークとなる時間帯を避けた乗客向けに運賃を引き下げた定期券を導入する一方で、いつでも乗車できる従来型の定期券は値上げするような形が考えられるからだ。
「JR東日本は『値上げする』とは一言も言っていないが、変動運賃制の導入で実質的に値上げとなる可能性は小さくない」と話す鉄道関係者は少なくない。
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