人手不足が長く続いてきた飲食業界などで、勤務記録上は「休憩」だった時間も実は働いていたと、働き手側が労働基準監督署に訴える例が相次いでいる。労災認定された飲食チェーン元店長のタイムカードに1日6時間を超す休憩が記録されていたケースもあった。サービス残業の隠れみのになっている可能性も指摘されるが、働き手が記録を覆す証拠を示すのは簡単ではない。
1日6時間45分の休憩記録
大手うどんチェーン「丸亀製麺」の店長だった男性(22)は2019年6月にうつ病を発症し、20年10月、向島労基署(東京都墨田区)に労災認定された。
労基署に提出された19年4~6月の男性の勤務記録では、1カ月間の残業の合計が月44~54時間程度なのに、休憩は月52~68時間程度になっていた。残業よりも休憩が長い日がめだち、なかには早朝から深夜まで勤務した15時間の間に、計6時間45分の休憩が記録された日もあった。
男性は勤務記録は事実と異なり、実際は働きづめだったと主張。休憩と記録したのは、上司に指示され残業を少なくみせるためだったと訴えた。
労基署は、業務が過酷で男性がうつ病を発症したと認定した。休憩ではなかったという男性の主張は証拠が不十分として、ほぼ勤務記録に沿った労働時間で労災補償額を算出した。男性はこの認定を不服として、労基署を所管する東京労働局に審査を求めている。
「上司が指示した事実ない」
拡大する丸亀製麺の店長として働き労災認定を受けた男性の勤務記録
丸亀製麺を運営するトリドールホールディングスは取材に、男性の休憩時間が「不自然なほど長い」ことを認めたが、「上司が指示した事実はない」としている。男性への指導不足などから「男性が勤怠無打刻での労働を行うという判断に至ってしまう状況を作ってしまった」と主張している。現在、男性側と和解に向けた話し合いをしているという。
休憩時間をめぐる争いは、他の外食チェーン店でも起きています。そして立証には高いハードルがあります。記事後半では、こうした事例を紹介すると共に、コロナ禍で同様の手法での残業隠しが増えるという識者の見解をお伝えします。また、労働問題を巡る情報を送ってください。eメールアドレスt-rodo@asahi.com
「休憩時間」めぐり遺族と会社が異なる主張、裁判所の判断は
都内を中心に展開する回転ず…
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