コロナ禍の打撃を和らげようと、韓国の航空会社があの手この手を繰り出し、黒字を確保している。海外旅行のように免税品を買える「無着陸フライト」や航空貨物への大胆なシフトだ。意思決定の速さなど、韓国企業のガバナンス(企業統治)の特徴が出ているとの指摘もある。(ソウル=神谷毅)
かみや・たけし 1972年生まれ。経済部、GLOBE編集部などを経てソウル支局長。コロナ下で飛行機に乗ったのは韓国での地方出張2回だけ。
ソウルの玄関口、仁川国際空港を私が訪れたのは7月末のこと。新型コロナウイルスの流行が始まる前の2019年10月以来だった。現場はここまでの状況とは思わなかった。
夏休みシーズンで、本来なら人と送迎の車でごった返しているはずだが、ターミナルに面した道路では車が数分に一度通るかどうかだ。空港バスの姿もない。ガードレールには空港労働者の「解雇反対」の垂れ幕がいくつもあった。
2階の出発ロビーに向かった。静かだ。静かすぎる。搭乗手続きなどの案内放送がないからと分かった。代わりにロビーの大きな空間には改装工事で使う重機の音が響き渡る。
現実感の乏しさに包まれていた私の目に飛び込んできたのが、子供連れの家族やカップル、老夫婦らの姿だった。韓国アシアナ航空のカウンターに向かっている。案内板には「無着陸フライト」とあった。
韓国国土交通省によると、コ…
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