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「車載バッテリーが突然発火する」韓国・LG化学の"2000億円リコール"が示す本当の意味 製造技術そのものへの不安が強まる - PRESIDENT Online

「発火するバッテリー」でリコールの対象拡大を発表

8月20日、米自動車大手のゼネラル・モーターズ(GM)が電気自動車(EV)の“シボレー・ボルトEV”に搭載されているバッテリーパックに発火の恐れがあるとして、リコールの対象拡大を発表した。シボレー・ボルトEVには韓国のLG化学製のバッテリーが搭載されている。

韓国・ソウルにあるLG電子の本社=2021年7月29日

韓国・ソウルにあるLG電子の本社=2021年7月29日(写真=EPA/時事通信フォト)

今回のリコールはGMとLG化学の両方にとって大きなマイナスだ。特に、LG化学に関しては車載バッテリーの相次ぐ発火問題によって、民生機器用バッテリーへの不安も高まっている。LG化学は迅速に発火の問題を解明し、バッテリーの安全性を向上させなければならない。

世界第2位の車載バッテリーメーカーであるLG化学の基本的な製造技術への不安の上昇は、わが国バッテリーメーカーのビジネスチャンス拡大を意味する。ビジネスチャンスを確実に取り込むためには、各バッテリーメーカーの取り組みに加え、政府が米国などに日本製バッテリーの安全性などを明確に伝え、需要を取り込むことが欠かせない。

世界の自動車産業で脱炭素と電動化というゲームチェンジが進む中、官民一丸となって世界シェアの獲得を目指すことができるか否かによって、中長期的なわが国経済の展開には大きな影響があるはずだ。

対象は計14万1000台、費用は2000億円に

2021年7月、GMは2017年から2019年型のシボレー・ボルトEVのバッテリーから発火の恐れがあるとの理由から、昨年11月に続いて2回目のリコールを発表した。今回2022年型のモデルにまでリコールの対象が拡大され、3回にわたってGMはリコールを発表したことになる。8月20日に米国運輸省の道路交通安全局(NHTSA)が発表したリコール情報によると、これまでに発売されたシボレー・ボルトEVのすべてのモデルがリコールの対象になった。

過去2回のリコールの対象になったシボレー・ボルトEVは約6万8000台であり、今回あらたに約7万3000台がリコールの対象に加わる。2021年4~6月期の決算でGMは過去のシボレー・ボルトEV関連のリコール費用は8億ドル(約880億円)だったと発表した。今回のリコールによって追加で最大10億ドル(1100億円)の費用が発生する見込みだ。

GMはリコール費用の負担をLG化学に求める。なお、2021年2月に発生した現代自動車のEVのリコール台数は計8万1700台であり、費用は約1000億円だった。そのうち、LG化学が約7割を負担した。

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