Search

直営店ほぼなし、携帯ショップ苦境 オンライン専用普及で収益直撃、生き残りの道は - 毎日新聞 - 毎日新聞

東京都内のドコモショップの店頭には新料金プラン「ahamo(アハモ)」を紹介するポスターが張られていた=東京都内で2021年1月21日、本橋敦子撮影

 政府が旗を振る携帯電話料金値下げの陰で、利用者に身近な存在の販売代理店(ショップ)が苦境に陥っている。携帯大手各社(キャリア)が3月に始める割安の新料金プランを「オンライン手続き専用」としたことで業務縮小が避けられないためだ。岐路に立たされたショップに生き残りの道はあるか――。

利用者に朗報、ショップに衝撃

 「ショップの存在価値が薄れてきてしまっている。そう遠くないうちにリストラがあるかもしれない」。大手ショップの関係者は危機感をあらわにする。

 菅義偉政権の携帯料金値下げ要請をきっかけに、NTTドコモが昨年12月、データ容量20ギガバイトで2980円(税抜き)の新料金プラン「ahamo(アハモ)」を発表すると、ソフトバンクとKDDI(au)も同様のプランを新設して追随。いずれも契約やプラン変更などの手続きをオンラインに限定することでコストを抑えた。

 利用者には朗報だが、ショップには衝撃が走った。ショップはそれぞれキャリアの看板を掲げてはいるが直営店はほぼなく、経営しているのは地場企業や商社系など別の企業。端末販売や顧客のサポートに応じてキャリアから支払われる販売奨励金を主な収益源としており、オンライン専用が普及すれば収益を直撃する。

ドコモショップ店頭に掲げられたオンライン手続き専用プラン「ahamo(アハモ)」のポスター=東京都内で

新プラン、店頭PRの皮肉

 そうした中で、いくつかのショップでは、新プランを店頭でPRする皮肉な状況も生まれている。1月下旬、東京都内のあるドコモショップの店頭には「アハモ」を紹介するポスターが張られていた。本来ショップでは手続きできないはずだが「詳しくはスタッフまで」の文字もあった。

 アハモもドコモブランドをうたっている以上、店頭に相談に訪れる顧客も多い。ドコモの井伊基之社長は昨年12月の記者会見で「(店頭では)『ダメです』という応対は絶対にない」と明言。実際、ドコモはアハモをPRするチラシを全ショップに配布した。同社は「ショップで積極的に紹介するわけではないが、一時的な対応はお願いしている。チラシを活用してオンライン手続きを促す対応をしてもらっている」と説明する。

ビジネスモデルは曲がり角

 ショップは、キャリアから支払われる販売奨励金などの手数料に依存する形で安定した収益構造を維持してきた。ただ、営業利益率は5%前後で、キャリアの20%前後と比較するとかなり低い。両者の間には「明確な主従関係がある」(業界関係者)とも言われ、近年はスマホ市場の飽和で経営環境が悪化している。

 加えて、2019年10月に施行された改正電気通信事業法で、端末販売の値引きが2万円までに制限され、価格上昇による買い控えでスマホの売れ行きが落ち込んだ。昨年来の新型コロナウイルスの感染拡大による来店客数の制限も追い打ちをかけた。

記者会見で新料金プランについて発表するNTTドコモの井伊基之社長=東京都渋谷区で2020年12月3日午後2時7分、宮間俊樹撮影

 調査会社のMCA(東京)によると、ショップ数は20年8月時点で8063店。新規参入の楽天モバイルを除くと、2年あまりで5%強も減少した。MCAの天野浩徳・通信アナリストは「代理店を経由したスマホ販売というビジネスモデル自体が曲がり角を迎えている。完全に(環境変化に対応できない)『ゆでガエル』状態だ」と指摘する。

カフェ、カーシェア…新サービス模索

 業界では模索も進む。ドコモはカフェやカーシェアリングなどのサービスを提供する「d garden」など、新たなショップの業態を19年4月から順次開始して現在10店を展開。KDDIも20年11月、通信契約だけでなく電気やクレジットカードなどの契約もできる「au Style」を始め、85店舗まで広げた。

 ショップでの顧客サービスを有料化する動きもある。ドコモは昨年12月から全国のドコモショップで「アプリ設定サポート」の提供を開始。インストールや初期設定などを1アプリ1650円(税込み)で店員が補助する。ただ、これまでショップでは常連客に無料でスマホの設定などをサポートすることも多く、あるショップ店員は「無料だったものにどうしてお金がかかるのか疑問を持つ人は多い」と漏らす。

 今後の鍵は、デジタル化を加速させる行政との連携だ。総務省はスマホでの行政手続きを教える講座を全国1000カ所で開催する。マイナンバーカード関連のサポートにもショップを活用できないか検討が進んでいる。大手販売代理店の幹部は「代理店は実店舗とスマホに詳しい人材を持っている。強みを生かす対策を打ち出したい」と話す。

 販売奨励金への依存から脱却し、新たな収益の柱を確立できるのか。ショップの「自立」が促されている。【本橋敦子】

Let's block ads! (Why?)


からの記事と詳細
https://ift.tt/3cCFhPZ
ビジネス

Bagikan Berita Ini

0 Response to "直営店ほぼなし、携帯ショップ苦境 オンライン専用普及で収益直撃、生き残りの道は - 毎日新聞 - 毎日新聞"

コメントを投稿

Powered by Blogger.