ドイツ予防接種常設委員会(STIKO)は、英製薬大手アストラゼネカ社の新型コロナウイルス・ワクチンについて、接種対象年齢を65歳未満に限定するよう政府に勧告した。同委員会は、高齢者への薬効について「データが不足」しているからだと判断理由を説明している。
ドイツ政府に諮問する独立委のSTIKOは、「65歳以上に対するワクチンの効果を判断できるだけのデータが不足している」と報告し、「アストラゼネカ・ワクチンの接種は18~64歳に限定するべき」だと推奨した。
欧州医薬品庁(EMA)は29日にも、アストラゼネカ製ワクチンの使用を欧州連合(EU)全域に認めるか、判断する見通し。
イギリスでは1月初めからオックスフォード大学とアストラゼネカ社が開発したワクチンを、新型コロナウイルスによる感染症COVID-19に対する国内の大規模予防接種事業に使っている。保健当局はその安全性を指摘し、「高いレベルの予防効果」を与えるとしている。
アストラゼネカ社はすでに、オランダとベルギーの工場で起きた製造の遅れが原因で、EUには今年第1四半期(1~3月)に約束した供給分のごく一部しか提供できないと発表している。これに対してEU側は、イギリスの備蓄をEUに回すことでアストラゼネカは約束した供給量を届けなくてはならないと主張。加盟国に、アストラゼネカと合意していた量を確保するため「あらゆる法的手段を活用」するよう呼びかけている。
米ファイザーも、独ビオンテックと開発したワクチンのEUへの供給量を削減している。
イギリス当局はワクチンの安全性に自信
イングランド公衆衛生庁(PHE)の予防接種責任者、メアリー・ラムジー博士は、オックスフォード/アストラゼネカとファイザー/ビオンテックの両方のワクチンについて、「安全で、COVID-19に対して高いレベルの予防効果」を提供すると述べた。
「アストラゼネカの臨床試験では、高齢者が獲得する免疫レベルを正確に観察できるだけの高齢者の人数が確保できなかった。しかし、免疫反応についてのデータは非常に心強いものだった」と、博士は話した。
ボリス・ジョンソン英首相は、イギリスの保健当局がアストラゼネカ・ワクチンについて「すべての年齢層について効果的」だと明確にしているため、ドイツの勧告は心配していないと述べた。
英イーストアングリア大学のポール・ハンター医学教授はBBCニュースに対して、アストラゼネカ・ワクチンは65歳以上の人にも安全で、「重症化を防ぎ、入院リスクを軽減するという意味で、ほぼ確実に相当なメリットを提供する」と話した。
<解説> ミシェル・ロバーツ、健康担当編集長
各国の規制当局や専門家は誰もが、オックスフォード/アストラゼネカのワクチンについて同じ臨床試験データを見ている。臨床試験では確かに、高齢者の参加は他の年齢層と比べると少なかった。
なぜそうなったかというと、臨床試験はまず若い志願者から治験を開始したからだ。これは、できるだけ素早く検査結果を得るためで、パンデミックから脱出できるだけの効果がワクチンから得られるのか、早急の判断が迫られていたからだ。
臨床試験を実施した研究者たちは最初から、この点についてははっきり認めていた。しかし、自分たちのワクチンが高齢者にも効くことを示す証拠はほかにもあると説明している。複数の研究によると、65歳以上の人もワクチンによって強い免疫反応を示している。予防注射の後の血中には、新型コロナウイルスと戦うために十分な抗体がたっぷり確認されている。
イギリスでは今月初めから大規模な予防接種事業にアストラゼネカ・ワクチンを使っているので、このワクチンの効果について実際の臨床現場のデータが近く得られるはずだ。
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