28日からの週は、ドル売りが優勢だった。ドル円一時102円台、ユーロドル1.22台後半、ポンドドル1.36台、豪ドル/ドル0.77台などへとドル安が進行した。クリスマス明け、年内最終週となるなかで、世界的に株式市場が堅調に推移。各国市場で最高値を更新する動きが相次いだ。日経平均はバブル後、30年ぶりの高値水準で大納会を終えた。パフォーマンスでは米ナスダックの年初来4割超高には及ばないものの、日経平均も16%高となった。米金融当局は超緩和政策の長期化を示しており、来年の経済回復後もしばらくは低金利、流動性供給を継続する見込みだ。株高・ドル安のドライブとして期待されている。パンデミックが2020年を象徴する出来事だった。加えて政治の年でもあった。株式市場のパフォーマンスをみると、香港と英国株が年初来マイナスとなっている。2021年は米バイデン政権が発足する。中国との駆け引きが注目されそうだ。
(28日)
東京市場は、振幅後は閑散もみ合いに。序盤から中盤にかけては日経平均や時間外取引の米株先物の動向とともに上下に振れる展開となったが、昼頃からは小動きに。トランプ米大統領が経済対策法案に署名したことを好感し、日米の株価指数やアジア株は上昇しているが、年末で市場参加者が限られる中、為替市場では動意薄となったようだ。ドル円は103円台半ばでの取引。ユーロドルは1.22台を挟んだ上下動からやや買い優勢に。ポンドのリバウンドも一服。序盤は英中銀のマイナス金利導入の可能性との英紙報道で売りが優勢となったが、中盤には買い戻されている。ポンドドルは1.35台で下に往って来いに。
ロンドン市場は、ドル相場が振幅。序盤はユーロドルの上昇に主導されドル売りが優勢。欧州株が堅調に推移しており、独DAX指数は取引時間中の最高値を記録した。背景としては、前週末に英国とEUとの貿易交渉が大枠合意、トランプ米大統領が経済支援法案に署名、EU各国で27日から新型コロナウイルスのワクチン接種が始まったことなどが挙げられよう。リスク選好ムードのなかでドル円は103.40付近まで軟化する場面があった。しかし、その後にポンドドルが1.35台割れへと下落する動きに、ユーロドル、ドル円もドル買い方向に押し戻されている。特段のリスク警戒の動きはみられていないものの、ポンド売り・ユーロ買いのフローが活発に持ち込まれていた。先週までのポンド買いに調整が入る面もあったようだ。また、市場の一部には英国とEUとの貿易交渉で、サービス、特に金融サービスの面で交渉が継続していると指摘する声もあった。この日は英国がボクシングデー振り替え休日となっており、クリスマス休暇の参加者が戻ってきていない面もあり、いわゆる薄いマーケット状況となっている。
NY市場は、ドル買いが優勢。ドル円はロンドン・フィキシングにかけて買われ、104円台をうかがう動きとみせた。特段の買い材料は見当たらないが、リスク選好ムードのなかで円売りが優勢となったほか、ポンドが対ドルで下落したことがドル買いにつながっていた。米追加経済対策にトランプ大統領が署名したことや、先週の英・EUの貿易交渉合意が市場のムードを高めている。米株式市場でダウ平均が最高値更新、米国債利回りも上昇し、イールドカーブがスティープ化。米国でのインフレ期待を示す10年インフレ連動債利回りが1.99%まで上昇、約1年ぶり高水準となった。ポンドドルは1.3430近辺まで一時下落。英国のEU離脱後の厳しい現実、変異種などウイルス感染問題、英中銀のマイナス金利採用シナリオなどポンド売り材料が指摘された。ユーロドルは1.22台前半での取引が中心と比較的小動き。
(29日)
東京市場では、ややドル安の動き。前日NY市場で103.90近辺まで買われたあと、東京市場では取引閑散となるなかで103.60台へと小安く推移。新規材料が出たわけではなく、ポジション調整が主体。値幅的には21銭にとどまっており、様子見ムードが強い。昨日の海外市場で大きく値を落としたポンドドルは、1.3440前後から1.3490台を付ける動き。ユーロドルも1.2200台から1.2240台を付けた。クロス円は基本的にしっかり。ユーロ円は海外市場で126.95レベルを付けた後、126.60台まで値を落として朝をむかえた。その後はじりじりと上昇し、一時126.99レベルまで。ポンド円が139.50台から135.95レベルまで上昇。
ロンドン市場は、ドル売り先行も次第に値動きは落ち着いた。先週末の英国とEUとの貿易交渉の大枠合意を受けた後の初取引となった英FT指数は、2.5%超高と大きく買われている。欧州株全般や米株先物も堅調な動きをみせており、リスク選好ムードが広がっている。序盤にはドル売りが先行した。しかし、次第にその動きも落ち着いてきており、揉み合い商状となっている。米下院で個人直接給付を2000ドルに増額する法案が可決した。このあとこの法案は上院に送付されることになっており、共和党優勢のなかでスムーズに可決するのかどうかが焦点となっている。市場では結果を見極めたいとするムードもあるようだ。ユーロドルは1.2258レベルまで買われたあとは1.22台半ばで高止まり。ポンドドルは1.35台乗せとなったあとは、1.34台後半へと戻しており上に往って来い。ドル円は103.60近辺まで下押しされたあとは103.60-70レベルでの揉み合いとなっている。
NY市場で、ドル円は揉み合い。ロンドン午前に103円台後半から半ばへと下押しされたあと、NY時間には103.50-60レベルでの揉み合いが続いた。前日に米下院で個人直接給付の2000ドルへの増額修正案が可決したことで、次は上院での通過が期待されている。FRBがインフレをある程度許容し、低金利継続姿勢を明確にしている中で、2000ドル給付案が成立した場合、インフレを押し上げる可能性があるという。今後数カ月のワクチン接種と個人消費増加による力強い景気回復がインフレ圧力を高め、名目金利からインフレ期待を差し引いた実質金利のマイナス幅は拡大が予想される。それがドル安に繋がる可能性があり、ドル円の上値を圧迫する可能性も。ユーロドルはNY時間に入ると買われ、1.2275近辺まで上昇。年初来高値をつけた。月末関連のドル売り需要が観測されていた。ポンドドルは1.35台乗せへと小高い。英オックスフォード大と英アストラゼネカが開発したワクチンを英政府が本日中に承認する可能性も伝わっていた。
(30日)
東京市場は、ドルが軟調。序盤は閑散小動きとなっていたが、時間外取引の米国株先物がプラス圏に浮上すると、中盤以降はドル安、円安傾向となった。とりわけ対豪ドルでのドル安傾向が鮮明になっており、豪ドル/ドルは2018年6月以来の高値水準となる0.7664近辺まで上値を伸ばした。ポンドドルも上昇基調を維持しており、終盤に1.3557近辺まで上昇した。EU加盟国政府が29日、英国との間で24日に合意した自由貿易協定(FTA)を承認したと伝えられており、ポンド買いにつながっているようだ。ユーロドルは1.2295近辺まで上昇したあと、1.2280台での取引に落ち着いた。ドル円は103.50台から103.30台へと軟化。
ロンドン市場は、ドル売りが継続。ポンドドルの上昇が主導する形。1.36台に乗せ、年初来高値を視野に入れている。豪ドル/ドルは0.76台後半へ上昇、ドル円は103円台前半へと軟化している。一方で、ユーロドルは東京午前に1.23台手前まで買われた後、ロンドン序盤には1.2250台まで反落。その後は持ち直しているが、その他通貨と比べると上値は重い。ユーロ売り・ポンド買いのフローが上値を抑えたほか、ユーロドルのオプション期限設定の観測で値動きが抑制する面も。欧州株は売買が交錯しているが、米株先物が堅調なこともあって下押しは浅い。目立った経済指標発表はなく、新型コロナ関連の報道が注目された。ドイツでは感染死亡者数が過去最多を記録。一方で英国ではアストラゼネカ・オックスフォード大学のワクチンが政府に承認された。英保健相は、来年春までにパンデミックを脱するのに十分なウイルス接種が可能と強く確信、と発言。ドイツとは対照的な報道となっていた。
NY市場では、ドル売りに調整が入る場面があった。ドル円は序盤に一時102円台に下落。ただ、その後は103.30台まで買い戻された。ロンドンフィキシング関連の実需フローが入ったもよう。ユーロドルは一時1.23台に上昇。レーンECB理事の「ユーロ相場を極めて注意深くモニターしている」との発言も伝わり、その後は1.22台に戻した。上昇トレンドには大きな変化はみられていない。ポンドドルは1.36台を回復。離脱合意後の英経済について懸念する声も多いなかで、市場の一部からは来年のポンドは緩やかに上昇する余地があるとの声も出ている。ポンドは割安に放置されているという。実質金利をマイナスに急速に下落させるインフレ上昇が起きない限り、中期的なポンド安を見込むのは難しいという。
(31日)
東京市場は、大晦日のため休場。
ロンドン市場は、ドル売りが優勢。大晦日でドイツの株式市場は休場。取引されている英FT指数と仏CAC指数はいずれも調整売りに押されている。特に英FT指数の下げが大きめ。そのなかでドル円は103円台前半から103円ちょうど付近まで下落。ユーロドルは上値重く1.22台後半へ、ユーロ円も126円台後半から半ばへと軟化している。しかし、ポンド、豪ドル、NZドルなどではドル売りが優勢。クロス円も円安方向へと動いている。今週のドル安の流れの根強さが示される格好となっている。ポンドドルは1.36台後半、豪ドル/ドルは0.77台前半、NZドル/ドルは0.72台前半でこの日の高値を伸ばしている。英国はあす、EUから完全離脱する。不安材料は残っているが、対ユーロでのポンド買いが入るなど、ポンドは堅調に推移している。
NY市場でドル円は103円台前半での推移が続いた。ただ、前日同様に本日も103円割れをうかがう動きが見られていた。目先のドル円の下値メドは12月17日安値の102.90付近が意識されるが、その水準をブレイクした場合、次は3月安値が視野に入る状況ではある。
(1日)
元旦・ニューイヤーデーのため世界的に休場。
執筆者 : MINKABU PRESS
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