イングランド銀行(英中央銀行)はインフレがこれまでの想定よりも急激に加速すると予想した一方で、高インフレは一時的にとどまるとの見解を堅持し、金融緩和縮小の時期についての判断を先送りした。
英中銀は消費者物価上昇率が3%に達すると予想。6週間前の予測から0.5ポイント引き上げた。インフレ加速の原動力であるエネルギーと商品値上がりの影響は来年にはなくなるとの見通しを示した。
ベイリー総裁率いる金融政策委員会(MPC)は政策金利を0.1%で据え置くことを全会一致で、年末までの累積で8950億ポンド(約138兆円)の資産を買い入れる目標の据え置きは8対1で決定した。今月でMPCを去るチーフエコノミストのアンディー・ホールデン氏が購入規模の縮小を主張した。
他の8人は新型コロナウイルス対策のロックダウン中に積み上がった経済のたるみは依然大きいと論じた。中銀はインフレ率が持続的に目標を上回るとの明確な証拠が見られるまでは、引き締めを行わない方針を重ねて示した。
中銀は声明で、「拙速な引き締め」について警鐘を鳴らし、金融緩和継続の必要性を強調した。「金融市場のインフレ期待の指標は、短期的なインフレの強さが一過性のものだとの見通しを示唆している」と説明した。
「経済の余剰生産能力は活動が上向くに伴って解消され、一時的に需要超過になると見込まれる」ものの、「金利が市場予想に沿った軌道をたどることを前提とした場合、これらの一時的な影響が薄れるにつれてインフレ率は中期的に2%前後に戻ると予想される」と解説した。
中銀の発表後に短期市場の利上げ時期予想は2カ月後ずれし、2022年8月となった。
英国の5月のインフレ率はほぼ2年ぶりに中銀目標である2%を上回り、緩和縮小時期を巡る臆測が高まった。中銀は8月にインフレ予測を修正する見込み。5月に公表した経済予測では今年の終わりに2.5%前後でピークに達すると想定していた。
原題: BOE Warns Against Tightening Too Soon as Inflation Surges (3)、 BOE Says Inflation Surge Is Temporary as Policy Maintained (1)、 BOE Says Inflation Surge Is Temporary as Policy Maintained (1)(抜粋)
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