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凶悪事件への悪用続出、ボウガン所持を許可制に…不法所持には刑事罰 - 読売新聞

 殺人事件などへの悪用が相次いでいたボウガンについて、政府は24日、猟銃などと同様に所持を許可制とする銃刀法改正案を閣議決定した。用途をスポーツや動物麻酔などに限定し、不法に所持した場合は刑事罰を科す。今国会に法案を提出し、成立を目指す。

 ボウガンは、弦の固定装置があるため、人力で弦を引くアーチェリーや和弓と比べて命中しやすい。茨城や兵庫など28府県(昨年10月末時点)が条例で「有害玩具」などに指定し、18歳未満への販売などを禁止してきたが、国による規制は初めて。昨年6月に兵庫県宝塚市で家族ら4人が殺傷されるなど凶悪な事件が続いたことから、規制強化が必要と判断された。

 改正案では、ボウガンの名称を「クロスボウ」と規定し、一定以上の殺傷能力があるものを規制の対象にする。猟銃や刀剣などと同様、所持する場合は都道府県公安委員会の許可を得ることとし、用途はスポーツ競技(標的射撃)と動物麻酔、漁業などに限定する。不法に所持した場合は、3年以下の懲役か50万円以下の罰金を科す。

 「18歳未満」や「禁錮以上の刑の執行を終えてから5年を経過していない者」などについては所持を認めない。許可期間は3年で、更新制とし、許可のたびに正しい使用法に関する講習の受講が必要となる。

 販売業者についても、都道府県公安委員会への届け出制とする。販売時には購入者の所持許可証の確認を義務づけ、確認を怠った場合は6月以下の懲役か20万円以下の罰金を科す。

 改正法の施行日は公布の日から9か月以内とする。既に自宅などで所持している人も施行日から半年以内に許可を得る必要がある。

 警察庁によると、ボウガンは威力が弱いものでも空気銃を超える殺傷能力があり、中程度の威力だとアルミ製のフライパンを貫通する。国内では主にインターネットで販売されているが、流通量などは不明。許可制導入により、流通実態の把握も進むとみられる。

 2010年1月~20年6月に全国で摘発されたボウガン使用事件は32件で、このうち殺人や傷害など人に危害を加えた事件は13件。中には「遠距離から確実に命が狙える」「人を殺すために購入した」と供述した容疑者もいたという。こうした事件の多発を受け同庁が設置した有識者検討会が昨年12月、許可制の導入を提言していた。

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