写真はイメージ=ゲッティ
新型コロナウイルスの感染拡大を受け2回目の緊急事態宣言が発令された1~3月の平日朝に首都圏で鉄道を利用した人数の平均は、宣言が解除されていた2020年5月以降の7カ月間に比べて微減にとどまることが国土交通省のまとめで明らかになった。利用者が激減した1回目の宣言時とは異なり、効果は限定的で、専門家は「緊急事態宣言慣れ」が背景にあると分析する。
2回目の宣言で最後の平日となった19日朝、東京・丸の内は多くの人が行き交った。出勤途中の男性会社員(44)=東京都新宿区=は「明らかに通勤客が多い」と漏らす。男性は1回目の宣言時は在宅勤務をしたものの、私有のパソコンや携帯電話を使い、通信費も自己負担だった。会社が助成制度を新設することになったが間に合わず、2回目の宣言中は週5日出社せざるを得なかったという。在宅勤務と出社が半々という東京都八王子市の女性会社員(53)も「宣言解除で通勤電車がますます混雑しないか」と心配していた。
国交省は、JRや大手私鉄の主なターミナル駅で平日朝のラッシュ時に自動改札機を出た人数を集計している。首都圏では、20年2月中旬の人数(1日当たり)を「100%」とすると、2回目の宣言期間中の平日(1月8日~3月17日。同18、19日は未公表)は平均62%だった。月別にみると、1月61%▽2月62%▽3月64%――と微増した。
1回目の宣言期間中の平日(20年4月8日~5月25日)は平均37%で、2回目の方が1・7倍高い。1回目が解除されてから2回目が発令されるまでの平日(20年5月26日~21年1月7日)は平均68%で、2回目はそこから6ポイント減っただけだ。背景には企業のテレワークが進んでいないことがある。公益財団法人日本生産性本部の調査では、20年5月時点でテレワークをしている人は32%いたが、同10月時点では19%と少なくなった。
筑波大の原田隆之教授(臨床心理学)は「昨春の宣言は国民には初めての経験で、不安や恐怖感が強く心を引き締めた」と指摘する。一方、満員電車でのクラスター(感染者集団)発生が確認されないなか、電車通勤について徐々に楽観的になり、2回目の宣言でもそれが続いたと分析。「日本人には、電車に揺られて会社に行くという価値観が根強くある。政府は国民が理性的に従うことを前提にしているが、『現実的な人間像』を前提に政策を考える必要がある」と話している。【山本佳孝、金寿英】
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