生理のとき、ナプキンなしでも過ごせる「吸水ショーツ」が注目を集めている。米国で話題を呼び、日本でも女性起業家らが次々に独自ブランドを立ち上げているほか、8日には大手衣料ブランド「GU」も発売を始めた。新たな成長市場をとらえようと参入が相次ぐ。
ナプキンいらず
GUが8日に発売した吸水ショーツは、股の部分が3層構造になっており、水分15~20ミリリットルほどを吸収できる。一見、普通の下着だが、洗って繰り返し使える。ピンク・薄いピンク・薄いブルー・ネイビー・黒の5色で、税込み1490円。消費者から「快適に過ごせるインナー(下着)がほしい」などの要望が寄せられていたという。
生理に悩みを抱える女性は多い。経血を吸収したナプキンは蒸れて気持ち悪くなりがちで、予備を持ち歩いて付け替える手間もかかる。月1度やってくる生理のそんな悩みを、少しでも軽くしようと生まれたのが吸水ショーツだ。米国で本格的な商品が登場したのを皮切りに、人気が世界的に広がっている。
日本の草分けは2019年に販売を始めた下着ブランド「ピリオド」だ。寺尾彩加代表(27)は「ただでさえ気分が下がっている時に、ダサいものは、はきたくない。身につけたいと思ってもらえるよう、デザイン性にこだわった。次の生理が来るのが楽しみになるようにしたい」。
経済的理由で女性が生理用品の入手に苦しむ実態が民間の調査で明らかになりました。生理をめぐる動きをリポートする連載です。
見た目だけでなく、肝心の吸水速乾性や、はき心地にも力を入れる。吸水力は最大20ミリ~30ミリリットルだが、ナプキンと併用して使う人もいるという。
伊勢丹にも 「保守的なイメージある場所でこそ」
ほかにも女性起業家らが「ナギ」「ベア」などのブランドを立ち上げている。下着メーカーなどが追随しており、寺尾さんによると、今は国内10社ほどが参入しているという。価格帯は2千~7千円台ほどだが、GUのように大手も参入することで価格の選択肢は広がる可能性がある。
女性の身体の問題をテクノロジーで解決する製品を扱うフェルマータが、期間限定ショップを伊勢丹新宿店で2月末に1週間出店。複数ブランドの吸水ショーツを販売した。好評だったこともあって、今後も定期的に期間限定店を出していく予定。3月17日から4月6日までは同じ新宿店で「女性の身体と心の健康」をテーマに、化粧品や身体のケア製品に加え、吸水ショーツを置いた店を開いている。
伊勢丹新宿店の担当バイヤーの桑原麻友子さんは「百貨店は幅広い年齢層が訪れ、少し保守的なイメージもあるが、そういう場所でこのような女性の健康を支える商品を提案していくことに意味があると思う。百貨店は単に商品ではなくて文化を発信するところであり、女性の選択肢を増やす提案をしていきたい」と話す。(岡林佐和、細見るい)
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