ⓒ 中央日報/中央日報日本語版2021.03.31 07:57
強制処分は投資家が投資銀行などに担保として提示した株式などの価値が一定水準以下に落ちた時に行われる。投資銀行はひとまず電話をかけ担保価値が不足するので担保を補充するよう要求する。アルケゴスが追加証拠金納付に応じられず、ゴールドマン・サックスとモルガン・スタンレーは26日から先を争ってアルケゴスが担保として提供した株式を売却した。しかし野村証券とクレディスイスは相対的に対応が遅れ大規模損失を出したと推定される。
フィナンシャル・タイムズとブルームバーグなどによると、ファン氏は最高5倍のレバレッジを利用して積極的投資をしてきた。こうして投資した資産の価格が上がれば最高5倍の収益率を狙うことができる。だが投資した資産の価格が下がれば損失も5倍となる。ファン氏の実際の資産規模は50億~100億ドルと推定される。ところがアルケゴスが投資した企業の株価が最近急落しファン氏の投資損失も雪だるま式に増えた。米国のメディア企業バイオコムCBSと中国バイドゥなどが代表的だ。22日のニューヨーク証券市場で100ドルを超えていたバイオコムCBSの株価は29日に47ドルまで下落した。
野村証券は「ある米国顧客との取引で20億ドルの損害が生じる可能性がある」と公開した。野村はこの顧客がアルケゴスと明らかにしてはいないが、ウォール・ストリート・ジャーナルは匿名の関係者の話としてアルケゴスと関連していると伝えた。29日のニューヨーク証券市場で野村証券の株価は前日より14%急落した。クレディスイスは「1-3月期の業績にかなり重大な影響を及ぼすだろう」という立場を出した。クレディスイスの株価は29日に11.5%下落した。両社の時価総額は1日で8兆ウォンほど減少した。
ウォール街では旧タイガー・マネジメント出身であるファン氏の投資スタイルが現在の金融システムの弱点を示すものという点で緊張している。米財務省と米連邦準備制度理事会(FRB)などが参加する金融安定監視委員会(FSOC)は31日に会議を招集した。バイデン米大統領就任後で初めてだ。主要議題は新型コロナウイルス以降のヘッジファンドの動きなどだ。今回の会議日程は事前に予定されていたものだが、アルケゴス問題と金融会社の損失も議論対象に上がる可能性がある。
ファン氏は昨年初めまで金融取引をできない身分だった。ウォール・ストリート・ジャーナルによると、彼は2012年に内部情報を利用した取引をしたという容疑で有罪判決を受けた。当時1600万ドルを没収され4400万ドルの賠償金を支払った。その後昨年4月に米国証券取引委員会(SEC)が金融取引制限措置を解除しウォール街に再登場した。
韓国に生まれ高校3年生の時に米国に移住したファン氏はカリフォルニア大学ロサンゼルス校を卒業した後、カーネギーメロン大学で経営学修士学位(MBA)を取得した。現代証券を経てかつて世界最大のヘッジファンドだったタイガー・マネジメントのジュリアン・ロバートソン最高経営責任者(CEO)の下で働いた。その後アジア市場に主に投資するタイガーアジアファンドを運営し「タイガーカブ(子トラ)」と呼ばれたりもした。
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