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ふるさと納税、市民参加型で最高額へ - 福井新聞

全国で坂井市だけ、市民が使い道決め寄付募る

2020年12月7日 午前11時30分
福井県坂井市の寄付市民参画制度

福井県坂井市の寄付市民参画制度

 福井県坂井市は本年度ふるさと納税の寄付金について11月末現在、2019年度の8億8千万円を上回る過去最高の14億円を見込んでいる。市民が使い道を決めて寄付を募り、事業化する全国でも唯一の「寄付市民参画制度」をベースに、700品超の充実した返礼品と積極的なPR活動が好循環を生んで寄付金を押し上げ、市民サービスに還元している。

 市は08年度以降、寄付金の使途を市民から募り、民間4人を含む9人の「寄付市民参画基金検討委員会」を経て、寄付金を募る事業を決めている。12年目を迎え、21年度に芝政ワールドで予定する1万人規模の野外音楽フェスの開催も市民の提案によるものだ。

 15年度までの寄付金を活用した事業規模は平均300万円で推移した。17年度に返礼品を導入して寄付額は一気に4億5千万円に増加。これに伴い、18年度以降は事業規模も1億円に拡大している。

 市は国内最大のポータルサイト「ふるさとチョイス」で寄付金を活用した事業の目標額や達成率、何に困っているのか具体的に明示。これは他自治体と一線を画している特長だ。

 現在は▽スマート農業▽AIロボットによる教育環境づくり▽観光地での外国人雇用▽空き店舗を活用したコワーキングスペース整備―など10事業を紹介し寄付を募っている。

 これまで寄付者からは「使い道が具体的で共感が持てる」といった声が寄せられており、市企画情報課は「使途に納得している寄付者が多い。この安心感が心に響いている」とする。

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 寄付金は例年、11、12月に半数が集中する。本年度は前年比約1・5倍で推移したことから、12月補正予算では当初から2億円増の14億円となる見通しを示し、返礼品などの経費9800万円を計上した。

 4月から「ふるさとチョイス」に加え、甘エビやコシヒカリなど豊かな地域資源を集める返礼品のPR強化の一環としてコンビニなど展開の大津屋(福井市)と組み、「楽天ふるさと納税」でも募集を始めたことが寄付伸長の背景にある。

 市はこれまでも戦略的にふるさと納税事業を推進してきた。寄付者がその場で返礼品を受けることができるサービスを全国で初めて東京都品川区の市アンテナショップで始めた。クレジット決済で寄付が自動継続できる仕組みも全国初。国宝指定を目指す丸岡城のにぎわい創出に向け、お城ファンから継続的な支援を募るプロジェクトは全国自治体連合表彰を受けた。

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 坂井市への寄付額は北陸3県の市町別で17年度から3年連続トップで、地場産業の振興や雇用創出につなげてきた。寄付市民参画基金検討委員会の長谷川啓治委員長(59)は「集まった心(寄付)を有効活用するため、実現性、継続性をシビアに議論し使い道を決めている」と話す。

 使途を明確に決めて寄付を募る市民参加型制度と、生産者が連携したコラボ品、海釣りなどの体験を盛り込んだ地域特性を生かした返礼品の両輪が、坂井市独自の「強み」という。

 課題は市民からの提案が年間約30件と横ばいなっている点。長谷川委員長は「地域の課題解決につながる、よりよい事業を選ぶ上でも多くの市民に制度を知ってもらいアイデアをもらいたい。寄付者にも事業の結果をしっかり伝えることで、坂井市のファン拡大につながる」と期待を示した。

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