東京電力柏崎刈羽原発(新潟県)で相次いで発覚したテロ対策の不備に、原子力規制委員会が大なたを振るった。24日に方針を決めた是正措置命令は、事実上再稼働をできなくするもので、解除時期も見通せない。規制委は、事態を長期間放置した東電の体質を重視。「核燃料を動かす資格がない疑いがある」として重い判断に踏み込んだ。
規制委が原子炉等規制法違反で是正措置命令を出すのは、2013年に施設の使用停止などを命じた高速増殖原型炉もんじゅ以来。商業原発では初めてだ。大量の機器の点検不備が原因だったもんじゅと異なり、今回は現実にテロリストの侵入を許しかねない脅威があった。更田豊志委員長は会見で「もんじゅよりも深刻」と懸念を表明。「問われているのは東電の核物質防護に対する姿勢そのものだ」と強調した。
東電は、昨年9月に社員が他人のIDカードを使って中央制御室に不正入室した問題については、今月、原因分析と再発防止の報告書を規制委に提出。長期間侵入者を検知できなくなっていた設備もすでに復旧させている。それでも24日の定例会では「応急処置で症状は治まったが、根治していない」(伴信彦委員)などの意見が相次いだ。核燃料の移動禁止を命じる方針は、約15分ほどの議論の後、全員一致で決まった。
劣化した核セキュリティー文化、改善促す狙い
規制委が目を向けているのは、個々の不備よりも、不備が相次いでしまう組織的な体質だ。
中央制御室への不正入室では、他人のIDを使った社員を2人の警備員が不審に思ったが通過を認め、東電の警備担当者は認証エラーが出た後、個人識別情報を書き換えさせていた。規制委に提出した報告書では、社員に対する「警備員の忖度(そんたく)」や警備業務を尊重する気持ちが社員に不足していたことなど、「厳格な警備業務を行い難い風土」があったと認めた。
核物質を扱う原発では、監視カ…
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