日本航空(JAL)は30日、今期(2021年3月期)の最終損益が2400億円から2700億円の赤字になるとの見通しを明らかにした。新型コロナウイルスの影響で航空需要の低迷が続いているためで、赤字となれば2012年の再上場後で初めてとなる。
ブルームバーグが集計したアナリスト10人の今期の純損益予想の 平均値は2122億円の赤字だった。同社は新型コロナウイルスの感染状況や旅客需要の回復度合いによって大きく変動する可能性があるとして業績見通しを未定としていた。
決算概要 |
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21年3月期見通し
7ー9月実績
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今期の純損益見通しと7-9月の実績はいずれも市場予想より悪い内容となったがJALの菊山英樹専務は都内での会見で、「経営としてはもちろん一刻も早く黒字化を目指したい気持ちはあるし、来年黒字化できるのなら、もちろんそれに向かって進んでいきたい」と語った。
JALの決算資料によると、7-9月の資金流出は月約150億~200億円と4-6月の月450億円~500億円から低下。菊山専務は、第3四半期以降の資金流出は同程度に抑制された水準をおそらく継続できるとし、「コロナ影響はなかなか不透明なところもあるが、今後について十分耐えうる状況にある」と述べた。
JALはさらなる流動性確保のためコミットメントライン1000億円を追加する予定としている。JALは8月の時点で、2月以降に約3000億円の資金を調達し、融資枠も増額し2000億円を確保したと公表していた。
菊山専務によると、需要低迷に対応した機材計画の修正に伴い、JALは保有する航空機を3月末までに12機減らし226機とする。国内線向け大型旅客機ボーイング777型機は全13機を22年度末までに退役させるという。
固定費については追加で100億円を削減し、当初想定比で計1000億円の削減を目指すとした。一方、ジェットスターなど提携相手と協力して格安航空会社(LCC)事業を強化して成田空港を拠点とするネットワークを構築するほか、航空関連以外の事業も強化するなど将来の成長に向けた取り組みも進める。
新型コロナの影響で多くの路線が運休・減便となっていることで、固定費の負担が重い航空各社は未曽有の危機に陥っている。JALの競合である ANAホールディングス(HD)も今週、今期は5050億円の営業赤字になるとの見通しを明らかにしていた。
欧米での感染再拡大で旅客需要低迷の長期化に対する懸念が高まる中、国際航空運送協会(IATA)は27日、21年の航空業界全体の売上高見通しを下方修正し、19年比でほぼ 半減するとの見通しを発表。航空会社の経営破たんや大規模な人員削減を避けるためには各国政府の支援が必要と訴えた。
日本では国土交通省が28日、空港着陸料や減免や税の支払い猶予などを柱とした航空関連企業支援のための政策パッケージを公表した。
(会見でのJAL幹部のコメントなどを追加して更新します)
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