【ロンドン=池田晋一】欧州連合(EU)統計局は30日、独仏などユーロ圏19か国の2020年7~9月期の域内総生産(GDP)速報値を発表した。物価変動の影響を除いた実質GDP(季節調整値)は前期比12・7%増、年率換算では61・1%増で、1995年の統計開始以来、最大の伸び率となった。
4~6月期には新型コロナウイルス感染拡大に伴う外出制限などが響き、年率換算で39・5%減と過去最大の減少幅となったが、夏に感染拡大が一服し、経済活動の再開が本格化したため大幅なプラス成長に転じた。ただ、感染拡大前の水準には遠く、前年同期比では4・3%減だった。
域内の主要国が同日発表した7~9月期の実質GDPもプラスに転じ、ドイツは前期比8・2%増、フランスは18・2%増、イタリアは16・1%増だった。
ただ、ユーロ圏各国の感染者数は、春の「第1波」を大幅に上回る勢いで増えており、10~12月期に再び景気が冷え込む懸念が強まっている。フランスでは30日から全土で外出制限が始まったほか、ドイツでは11月2日から月末まで、映画館や持ち帰りを除く飲食店の営業が禁止される。EU統計局が30日発表したユーロ圏の9月の失業率は前月から横ばいの8・3%だったが、行動制限の厳格化に伴って悪化する恐れもある。
ユーロ圏を管轄する欧州中央銀行(ECB)は、景気を下支えする姿勢を強める。29日の定例理事会後に公表した声明では、12月にも追加の金融緩和に踏み切ることを示唆した。量的緩和の再拡大を検討しているとみられる。クリスティーヌ・ラガルド総裁は記者会見で「(ECBは)行動を取る必要があるとの認識を共有している」と語った。
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