ホームセンター中堅・島忠の買収に、家具製造販売大手のニトリホールディングスが名乗りを上げた。DCMホールディングスとの争奪戦では、強気の株式買い付け価格を示した「ニトリ有利」を予想する見方が強く、今後はDCM側の対応が焦点となる。
「私たちの提案は島忠の客、株主、従業員すべての人に友好的で魅力的な提案だ」
ニトリの似鳥昭雄会長は29日の記者会見で、株式公開買い付け(TOB)の成立に強い自信を示した。島忠1株当たりのTOB価格は5500円で、今月上旬からTOBを実施しているDCMの提示価格を1300円も上回る。DCMによるTOBが表明される前の9月中旬の株価と比べれば、倍近い水準だ。
島忠の大株主には、埼玉りそな銀行やアイリスオーヤマなど取引先が名を連ねるものの、10%超を保有する安定株主がいない。一方で、個人株主が1割超(今年2月時点)いるほか、今月には旧村上ファンド系の投資会社が約8%を取得したことが明らかになった。個人株主や投資ファンドは、TOB価格を大きな材料に判断する傾向が強い。
今後は、DCMがTOB価格を引き上げるかが最大の焦点となる。島忠の株価は、ニトリによるTOBを見越して29日終値が5060円に急騰している。DCM側がTOB価格を4200円から引き上げない限り、同社が目指す過半数の株式取得は難しい情勢だ。
仮にDCMが取得価格を引き上げても、ニトリがさらに対抗値上げする可能性もある。その場合は収益性を度外視したチキンレースになる懸念も強まるが、ニトリは2000億円超の現預金を持ち、利益率や規模でもDCMに勝る。「ニトリ有利は変わらない」(アナリスト)との見方が強い。
DCMには島忠側からの側面支援への期待が大きい。今月2日、両社の経営トップがそろって記者会見し、DCMによるTOBや買収を「最適な選択で、DCMこそベストパートナー」(岡野恭明・島忠社長)と表明している。
島忠は29日、ニトリによる買収提案を踏まえ「慎重に検討し、見解を公表したい」とコメントした。だが、その結論次第で取引先の大株主がどちらのTOBに応募するか判断する可能性があり、島忠経営陣は難しい対応を迫られそうだ。
島忠争奪戦の背景にあるのは、4兆円規模とされるホームセンター市場への期待感だ。29日の会見でニトリ側は、ホームセンター事業を強化するため、3年前から島忠との経営統合や資本提携を検討していたことを明らかにした。
島忠は、東京都や埼玉県など、首都圏を中心に約60店舗を展開する。拡大路線は取らず、積極的に店舗を増やすこともしなかった堅実な経営に定評がある。
今年に入って新型コロナウイルスの感染拡大で、「巣ごもり消費」によってホームセンター業界には追い風が吹く。島忠争奪戦が決着しても、さらなる再編の動きを予想する声が強い。
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