新型コロナウイルス禍の終息までの道のりは長く険しいと警告する科学者が増える中、ワクチンが来年の世界経済を救うと見込んでいる投資家は楽観的な見通しの修正を迫られている。
大恐慌以来最悪のリセッション(景気後退)を引き起こした新型コロナの治療法開発を目指す製薬会社の取り組みは前進しているものの、最初に実用化されるコロナワクチンを巡っては有効性や世界人口70億人強への配布方法に加え、どのくらいの人数が接種に同意するかに関して疑問がなお残る。
最近の感染再拡大に伴う市民の懸念の高まりや制限措置で日常生活やビジネスが引き続き阻害される中、今後の世界の経済成長はこうした疑問にどう答えるかで左右される。マニュライフ・インベストメントのポートフォリオマネジャー、クリス・チャップマン氏は有効な予防接種システムが確立されたとしても、経済への効果が直ちに現れる万能薬にならないと指摘。
「新型コロナ前ないしトレンド成長に実際に戻るという点に関しては、1年余りかかる可能性がある。経済の回復時期は遅れる見通しだが、ワクチンが来年中に実用化される見込みは依然ある」と述べた。
異例の危機
この数十年間、世界経済が危機に見舞われた場合、経済に適切な規模の流動性を供給すれば景気回復に至るとして、中銀当局者や財務相に頼って乗り切ってきた。
ところが今回の危機は事情が異なり、投資家は米欧などの政権が打ち出す経済対策案と同じくらい、ワクチン・治療薬の治験データや科学者の発言に期待して注目している。有効なワクチン実用化が遅れれば遅れるほど、景気拡大の勢いは弱まる見込みだ。
もちろんコロナワクチン開発の取り組みが近く飛躍的に進展する可能性もある。全人口に占める割合は小さくても医療従事者や重症化リスクの高い人が免疫を獲得できれば、日常生活の回復に大きく寄与し、世帯や企業の今年の蓄えが来年消費・支出に回っていく可能性がある。
米ファイザーは今月、ドイツのビオンテックと開発中の新型コロナワクチン候補について、米国での緊急使用許可(EUA)を11月後半までに申請する可能性があると表明。同じくワクチン開発競争で先行する米モデルナも、ワクチン治験の来月の暫定結果が順調なら年内に緊急使用が認められる可能性を見込んでいる。
インペリアル・カレッジ・ロンドンの疫学者で、新型コロナに関する英政府顧問を務めたニール・ファーガソン氏は、「重症化リスクが最も高い集団を感染から守るのに十分な量のワクチンが来年春の遅い時期までに入手できる可能性はかなりある」と指摘。「しかし少なくともそれまでは、残念ながら市民生活は引き続き社会活動再開と感染抑制の間を揺れ動くことになろう」と分析した。
原題: Time to Reset Expectations for World Economy With Virus Untamed(抜粋)
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