厚生労働省の薬事・食品衛生審議会の部会は12日、米製薬大手ファイザーが申請していた新型コロナウイルスのワクチンについて、製造販売の承認を了承した。ワクチンは同日、成田空港に到着した。厚労省は、最短で14日にも国内初の新型コロナワクチンとして特例承認し、17日に医療従事者向けの先行接種を始める予定だ。
ファイザー製のワクチンは商品名「コミナティ」で、原則3週間の間隔を空け、計2回上腕の筋肉に注射する。対象は16歳以上。国際的な臨床試験で新型コロナの発症者を95%減らす効果が示された。国内の臨床試験でも、海外と同様に、ウイルスを攻撃する免疫物質の中和抗体の増加がみられ、有効性が確認された。
安全性についても、国内の臨床試験でも、海外とほぼ同じ割合で、だるさや頭痛などの副反応がみられたが、重篤なものは発生していないとしている。
ただし、接種が先行する海外では、まれに重いアレルギー反応が起きている。12日の部会では、明らかに発熱している人や、重篤な病気の人、過去にこの薬の成分でアレルギーを起こした人などへの接種は不適当とし、添付文書で注意喚起する。
ファイザーは昨年12月、国際的な臨床試験の結果に基づき承認申請し、今年1月に日本国内での臨床試験の結果も提出していた。
承認後は有識者会議を開き、感染症のまん延を防ぐために緊急的に行う臨時接種と位置付ける。接種は国民の努力義務となる。また、接種期間や、副反応に関する情報の収集方法などについても検討する。
17日にも始まる先行接種は、国立病院機構など100病院の医師や看護師ら1万人以上が対象となり、接種後の健康状態を調べる。65歳以上の高齢者への接種は4月1日以降となる見込みだ。
政府は、ファイザーから年内に1億4400万回分(7200万人分)の供給を受ける契約を結んでいる。1瓶あたりの接種回数が予定していた6回から5回になることが判明し、接種人数が減る可能性がある。
田村厚労相は、記者会見で「ワクチンは、新型コロナとの闘いにおいて、大きな意味がある」と話した。
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