[東京 1日 ロイター] - 任天堂は1日、2021年3月期の連結営業利益予想を前年比58.9%増の5600億円に上方修正したと発表した。ゲーム機「ニンテンドースイッチ」が好調だった4―12月期業績を織り込んだ。純利益は同54.7%増の4000億円を予想。実現すれば、利益はいずれも過去最高を更新する。業績予想の上方修正は11月に次いで今期2回目となる。
IBESがまとめたアナリスト22人のコンセンサス予想では、21年3月期通期の連結営業利益の平均値は5477億円。
通期の売上高予想は同22.3%増の1兆6000億円で過去最高ではないが、収益性が高まっており利益面では過去最高を更新する見込みとなった。4―12月期の売上総利益率は、ゲーム専用機の売り上げのうち利益率の高いソフトの売り上げ構成比率が上昇したほか、デジタル売上高の比率も上昇し、前年同期比9.1ポイント上昇の54.7%だった。
任天堂は、スイッチ本体の販売予想を2650万台に上方修正した。従来予想は2400万台(前年は2103万台)。スイッチのソフト販売予想も2億0500万本に上方修正した。従来予想は1億7000万本(前年は1億6800万本)。
古川俊太郎社長は同日の会見で、スイッチは「ホリデー商戦後、年明け以降も想定以上の需要がある」と説明した。特に日本で、一部の製品が品薄になる店舗が出てくる可能性があるという。古川社長は、スイッチが製品ライフサイクルの中盤となる4年目で過去最高の台数を記録したと指摘し、「販売には引き続き勢いがある」と強調した。
生産面では、世界的な半導体需要の高まりによる部品不足が懸念されるが、古川社長は「半導体部品を含め、当面の生産・販売に必要な部材は確保できている」とした。もっとも、半導体需要が増加している状況は理解しているとし、部材の供給状況を把握しながら「継続的な生産出荷に努めたい」とした。
スイッチ本体は今後、新色などのバリエーション拡大を予定するが、「直近でスイッチの新モデルを発表するようなことは予定していない」と述べた。
会社側の業績予想について、エース経済研究所の安田秀樹シニアアナリストは「非常に保守的」と指摘。年明け以降の販売動向を踏まえると、通期の営業利益で6000億円が見込めるペースだとみている。
年間配当予想は1株当り1880円に引き上げた。配当方針に基づくと1680円となるが、経営環境や見通しを考慮して200円加算した。前年実績は1090円。
前提為替レートは1ドル105円、1ユーロ115円で変更ない。
20年4─12月期の営業利益は前年同期比98.2%増の5211億円、純利益は同91.8%増の3766億円だった。
*内容を追加しました。
平田紀之
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