米Amazonのジェフ・ベゾス氏が、今年CEO職を辞任する予定だと発表しました。今後は会長職となり、CEOは現AWS CEOのAndy Jassy(アンディ・ジャシー)氏が勤めることになります。
ベゾス氏は「AmazonのCEOであることは非常に深く大変な責任を持つことであり、他のことに注意を向けるのが難しい」と述べこの人事によってNASAとの契約で月着陸船の開発を進めている宇宙企業Blue Origin、Washington Post、慈善基金のDay 1 Fundなどに割く時間が増えるとしています。
なぜこのタイミングでの発表になったのかは少々疑問が残るところ。米Amazonはバージニア州の第2本社の未来的勝つゴージャスな設計コンセプトを発表した数時間後に、Amazonの配送ドライバーへのチップを徴収し、給与支払いの一部に算入していたという、Amazonらしいといえばらしいケチな話で6170万ドルの和解金を支払うことが連邦取引委員会(FTC)から発表されていましたが、まあそれはCEO退任には関係ないはずです。
#BREAKING: Amazon to pay $61.7M to settle FTC charges it withheld some customer tips from Amazon Flex drivers. Settlement returns full amount that Amazon allegedly withheld from drivers and will be used by the FTC to compensate drivers: https://t.co/FH3j8JK93L 1/4 pic.twitter.com/bwpcPgl4Pj
— FTC (@FTC) February 2, 2021
VoxメディアのRecodeによれば、ベゾス氏は従業員に向けたメールによる退任挨拶で、1994年にインターネット上であらゆるものを販売する会社を創設してから27年が経ったと述べ、その最初の20年間、朝起きて新聞を読み、子どもたちと朝食を食べ、1日8時間眠るというごく平凡な毎日を送っていたと述懐しています。しかし、ベゾス氏は頭を丸めるようになった2013年頃から、ただのCEO兼父親ではなく、業界の有力者としての力を強め、その年にWashington Postを買収しています。
さらに2015年以降、ジェイク・ギレンホール主演の映画『遠い空の向こうに(原題:October Sky)』に触発されて2000年に設立した航空宇宙会社Blue Originに対して、毎年10億ドル分の手持ちAmazon株式を売却して資金を投じるようになりました。
2018年、ベゾス氏は世界一の富豪であるにもかかわらず、その米国の大企業家らしからぬ慈善活動や寄付金額の少なさが報道されました。その結果としてDay 1 Fundが設立され、ホームレスとその家族を助ける非営利団体への寄付や低所得層コミュニティに対して非営利の保育園を設立するといった活動を開始しています。
2020年には、今度はAmazon従業員から自社の気候変動対策への取り組みが甘いとの声があがり、やはりこれに応じるように100億ドルを対策のために投じることを約束しています。そして最新の話題と言えば、上に記した配送ドライバーのチップのピンハネ事案でした。
いま紹介した活動の後半部分は、どうもベゾス氏が望んで始めたことではないように見えますが、それでもベゾス氏の手もとにはまだ1960億ドル以上の、文字通り掃いて捨てるほどの純資産があります。ちなみに、ベゾス氏の元妻であるマッケンジー・スコット氏は、2019年1月の離婚後、分配された資産から多くの額をビル・ゲイツ夫妻と投資家ウォーレン・バフェットが始めた寄付活動Giving Pledgeに投じています(ベゾス氏はいまだこの活動にはサインしていません)。
Amazonの物流センターはテスラの工場と並んで米国で最も危険な職場と言われ、ザルのような安全基準、トイレ休憩すら取れない奴隷のような労働の強制、各種手当てを支給する必要のない契約社員の多用など、世界一の大富豪を作り上げたIT巨人の実態がこれまで何度も伝えられました。また、ベゾス氏下のAmazonは、社員が組織化し組合を設立しないよう腐心してきたとされます(今月後半にはアラバマ州の倉庫労働者が組合設立のための投票を行う予定)。
ベゾス氏は上の退任メールで、Amazon社員の「創意工夫」を称賛し、気候変動への取り組みや最低賃金15ドルという取り決めにおいてAmazonが「リーダーシップを発揮し、他社にも働きかけを行った」と自慢したとのこと。
なお、米Yahoo Financeへのムーディーズ・インベスターズ・サービスのアナリスト、チャーリー・オシェイ氏の解説によると「この退任でベゾス氏が夕日に向かって出航していくわけではなく、今後も会長および筆頭株主として会社の全体的な戦略に深く関わる」とのこと。
もちろんAmazonの事業はここに記したようなことばかりではありません。本業の通販事業は新型コロナのパンデミックで外出を控える人々にとって力強い物資の入手手段となり、さらに巣ごもりで暇を持て余すことがないよう、Amazonプライム・ビデオで大量の映像作品を簡単に視聴できます。
今後も、AWSをAmazonにとって重要な金のなる木に成長させたジャシー氏とベゾス氏のタッグにより、米Amazonは莫大な利益を生み出し続けることになりそうです。
Source:Amazon
coverage:Recode, Yahoo Finance
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