トヨタグループは、2020年に世界で952万8438台(前年比-11.3%)を販売し、5年振りに世界販売台数1位に返り咲いた。なお、ダイハツと日野を除いたトヨタとレクサスの世界販売台数は869万2168台(前年比-11.5%)となっている。
そこで、本稿ではトヨタより入手したデータをもとに、2020年のトヨタ/レクサス車における世界販売台数ベスト10を集計。
2020年の日本での販売との対比も含めながら、コロナ禍のなかで「世界販売No.1」に貢献した世界で売れてるトヨタ車をみていきたい。
文/永田恵一 写真/TOYOTA
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【10位~7位】トヨタ車に交じりレクサス車もランクイン!
10位:レクサス RX/18万3000台
ラージSUVのRXは、日本で約1万4000台が売れており、RX全体における日本の販売比率は8%とそれなりの割合を占める。
また、RXが世界規模でこれだけ売れているのを見ると「レクサス人気を牽引しているのはSUV」と言われることもよくわかる。
高級ブランドであるレクサスにおいて特に欧州では伝統的な高級車であるセダンを中心としたFR系のモデルが手薄にならないか心配になってしまうくらいだ。
9位:レクサス ES/18万5000台
レクサスESはカムリのレクサス版となるFFラージセダンで、日本での販売は4871台と少なく、北米と中国を中心にこれだけの台数が売れたことには本当に驚く。
ESがこれほど売れていることから、FFとFRという違いはあるにせよ、表面的には同じ車格のGSが絶版となり、ボディサイズの小さいISもフルモデルチェンジは先送りされビッグマイナーチェンジとなったことも納得せざるを得ない。
8位:タコマ/26万3000台
日本で販売されないタコマは、ガソリンエンジンのみとした点などを含め、ミドルクラスピックアップトラックのハイラックスを北米向けとした存在だ。タコマがこれだけ売れていることは北米でのピックアップトラック人気の象徴と言える。
7位:C-HR(IOZA含む)/32万3000台
IOZAは、中国でのトヨタの合弁先の1つである一汽トヨタで販売されるC-HRの兄弟車。
C-HRはSUVとしては最低地上高が低い、キャビンとラゲッジスペースが広くないなどスタイル重視の個性が強いクルマということもあり、日本での販売は3万3676台とまずまずながら、近年はやや下火となっている。
それだけに、世界規模では2016年の登場から時間が経ちながらこれだけ売れていることに驚く。
【6位~4位】日本未発売車も登場! “ビッグな”トヨタ車が販売牽引
6位:ハイランダー/33万8000台
日本では販売されないハイランダーは北米を主なターゲットに、RAV4のボディサイズを拡大した3列シートを備えるラージSUV。2.5Lハイブリッドはボディサイズの割に非常に燃費がいいことも大きな理由によく売れている。
ハイランダーは2021年から欧州での販売を開始しており、今後はさらなる世界販売の伸びも期待できそうだ。
5位:カムリ(ハイブリッドを含む)/62万3000台
カムリは、北米と中国を主なターゲットとしたFFのラージセダンで、日本での販売は1万2085台に留まる。
しかし、トヨタ車らしいソツなさに加え、万人向けながら量販車としてはアグレッシブなスタイルを持つ。それだけに、世界規模で見た好調な販売もよく理解できる。
4位:IMVシリーズ(ハイラックス、フォーチュナー、イノーバ)/68万1000台
新興国向けが中心となるIMVシリーズは、ラダーフレームのプラットホームに、用途に応じたボディを組み合わせるという成り立ち。
ミドルピックアップトラックのハイラックス、ランドクルーザープラドをカジュアルにしたキャラクターを持つ本格SUVのフォーチュナー、3列ミニバンのイノーバから構成される。
日本ではハイラックスだけが販売されており、販売台数は5410台とIMVシリーズの中では1%に満たないが、マニアックなクルマと考えれば未だ絶好調といえる。
また、8位のタコマなどもIMVシリーズと同じプラットホームを使っているため、世界的に見たこのプラットホームの収益は非常に優秀に違いない。
【3位~1位】昨年の話題車も登場! トヨタ車人気ベスト3は?
3位:ヤリスシリーズ/83万3000台
ヤリスシリーズは、主にド真ん中のコンパクトカーとなる5ドアハッチバック、コンパクトカーSUVのヤリスクロス、スポーツモデルのGRヤリスという三兄弟から構成され、ヤリスとヤリスクロスの販売が多くを占める。
日本での販売は15万1766台と登録車堂々の1位に輝き、ヤリスシリーズ全体における比率も20%近くと大きい。
ヤリスシリーズは、日本の交通環境ならリッター30km走ることも珍しくない燃費を誇る1.5Lハイブリッドとハンドリングに代表される期待以上の趣味性が武器。
さらに5ドアハッチバックと、SUVという複数ジャンルと、広さを求めるユーザーもヤリスクロスでカバーする二弾重ねの戦略も見事だ。
今年は2020年後半登場のヤリスクロスの販売が通年となることもあり、ヤリスシリーズの販売はさらに伸びそうだ。
2位:RAV4/106万8000台
RAV4は、世界的に需要が多い大きいミドルSUVに属することに加え、実用性と趣味性のバランスも素晴らしい。
日本での販売は5万4848台とグローバル全体で見ると多くはないが、世界で年間100万台超えという販売好調もよくわかる出来。また、RAV4は平均単価が300万円を超えるだけに、収益も優秀だ。
1位:カローラシリーズ/140万7000台
カローラシリーズは、ホンダ シビック、フォルクスワーゲン ゴルフに相当する世界的に需要の多いミドルクラスの中核車種。それだけに、トヨタで一番売れていることも納得だ。
カローラシリーズは全体的によくまとまったクルマながら、実はキャビンがさほど広くない。それでもここまで売れていることに驚くとともに、トヨタがカローラという重要車種で思い切った決断をし、それがこれだけ売れているというトヨタの判断力の確かさも再認識させられる。
日本での販売台数も登録車3位の11万8276台と好調で、その理由としては日本で販売されるセダンとステーションワゴンのツーリングを、日本の道路環境に合わせた専用のナローボディとしたことも大きいと思われる。
今後は昨年タイで発表されたSUVのカローラクロスの販売も本格化するため、カローラシリーズの好調にはさらに拍車が掛かりそうだ。
◆ ◆ ◆
トヨタ車の世界販売ベスト10で絶対的な台数以上に印象的なのは、世界的に好調な「量販車」と「高額車」が多く揃っている点である。
今年もトヨタはさらに強くなることが確実であるのに加え、トヨタの強さを見ていると、他の日本メーカーにも何らかの形でトヨタに一矢報いる頑張りを期待したいところだ。
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