◆アスベストは検査対象外
同社が公表した会見録によれば、同社で品質管理に携わっているのは海外含め約100人おり、「すべての商品の品質チェックをしております」(似鳥会長)という。同社では製品の成分検査を委託先の工場や同社で実施し、その結果を商品表示として使用している。 だが、その対象にアスベストの検査は含まれていなかった。 アスベストの含有について記者に聞かれた武田政則社長は、「回収品を製造したいた委託先では、その成分調査にはアスベストの検査は含まれておらず、特有のアスベスト用の検査をしないと、アスベストの含有量が分からないという状態でした。ニトリから工場に対して、この検査依頼が明確に行われていなかったことが事実です」と明かした。 原材料や製品にアスベストが含まれているかどうかは分析調査せずに販売を続けてきたということだ。 これまで同社広報部に確認した際にも、アスベストの分析調査をしているかどうかは回答がなかった。今回初めて同社は実際に分析調査をしていなかったこと、そして検査依頼すらしていなかったことを認めた。 続けて武田社長は「このサプライヤーとは取引は中止になっておりまして、新しい取引先ではアスベストの検査を別に行っていただいております。この結果について反省して、次回から継続的に検査を進めたいと思っています。また工場でも検査の結果を残してもらうことも、今後はルールとして整備していきたいと思っています」と述べた。ただし、工場の変更は品質向上が目的で、アスベストは無関係という。 新しい取引先で実施されているというアスベスト検査が原材料ごとなのかや頻度、どのような検査方法でどこまで詳細に調べているかなど詳細は不明だ。 アスベスト含有の原因については「現在調査中」で明らかになっていない。武田社長は「原材料からなのか、あるいは加工途中なのか、調査をさせていただいております」と原因究明に努める方針だ。 また武田社長は、「原材料が入荷した時、製品として加工する時、通常の内容物検査に加えて、アスベスト用の検査を別途実施し、安心して使用できる商品を提供していきたい。発注のたびに、やはりそこは確認をしなければいけないということで、今は社内ではそのルール作りをしていこうと考えているところです」と話す。 労働安全衛生法(安衛法)では「製剤ごと」つまり、原材料ごとにアスベストが重量比0.1%を超えて含まれていないことを2006年から義務づけられている。禁止から14年経ってようやく同社は検査対象にアスベストを加える方針であることを表明し、法の遵守に向けて動き出すことになる。
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